かぞくそろって、6時45分。ちょうどよい。私が担当している学部の授業は今日が最後です。終わるとやはりほっとします。すこし体が軽くなった気分です。(大学院のひとこまを残し、今年度の講義は終了。あとは、試験。)
試験はすこし先ですから、しばらくいまやっている作業に集中できます。
ひとりで5時。ちいさいちびも同じ時間に一度目覚めましたが、今日は、割とすぐに寝てくれました。子どもは寝てくれるのが一番です。ちびどもを連れて、吉祥寺に。天気はよいのですが、風が吹いて寒い一日でした。昼食後ちびどもが遊んでいる間に、ひとりでラオックスにでかけ、フロッピー・ドライブとFireWire (IEEE 1394) PCI ボードを買ってきました。フロッピー・ドライブは実用。FireWire ( IEEE 1394) は趣味。使っているマシーンは96年購入なので、USB もFireWire (IEEE 1394) ももともとはなかった時代です。 USB はずっと前に、デジカメの画像を取り込むために、カードを増設しています。このマシーンをいつまで使うのかはわかりませんが、値段的にもそれほど高くなかった(3000円強)ので、FireWire (IEEE 1394) も付けておくことにしたものです。
騒いでいたちいさいちびが昼寝をした隙に、ほんとうに久しぶりにデスクトップマシーンを開けて、カードの挿入作業を行いました。いつもそうなのですが、筐体をあけたときの埃のすごさにはびっくりします。ちいさいちびを起こすといけないので、掃除機のパワーを最小にして、埃を吸い取りました。ほんとうにこんなに埃ってたまるの、というほど、たまっていました。
増設といって、ただ差し込めばよいので、なんてことはないのですが、実はまだFireWire で接続する周辺機器をなにももっていません。(外付けHDを候補として考えています。)
ちいさいちびが5時頃に咳が止まらなくなり、もどしそうになって、全員目覚めましたが、ちびどもには早すぎるので、再度なんとか寝てもらって、8時。おおきいちびはおなかがすいていたようで、下に降りてきて、すぐにふりかけご飯を2杯食べました。ちいさいちびはミルクの粉をもらって喜んでいます。[中華学校]
私の軽い風邪ですが、ひどくはありませんが、なおってもいません。おなかの調子は7割、頭の調子は8割、といったところです。ともあれ、ちょっとふらふらします。
その間に、妻がちびどもを連れて、四谷の中華学校に見学に行きました。おおきいちびは探検(ほんとうは体験)と言って喜んでいます。鉄人中華の陳さんもジュディ・オングもそこの出身ということです。学費は幼稚園よりも安いのですが、いかんせん、ちょっと遠い。→楽しかったようで、喜んで帰ってきました。とくに、台湾系の文化では、細かいことを気にしないことが多く、ちいさいちびも同じ体験教室にまじることができて、大満足の模様。よくわからない中国語をしゃべっていました。[方法]
一昨日の木曜日の講義は、最終回でした。そのときに、デカルトの方法序説から、4つの規則を紹介しました。
1.明証の規則
2.分割の規則
3.複合の規則
4.枚挙の規則
私の説明では、この4つは、次のようになります。「1.明証の規則」は出発点としては曖昧な部分、不明な部分を含むことは退けよ。「2.分割の規則」は研究主題をできるだけ単純な部分に分けよ。「3.複合の規則」はそうして分割された部分をより単純なものから複雑なものへと順番に構成せよ。「4.枚挙の規則」は取り残した部分、見落とした部分がないかどうか(最後に)全体を再検討せよ。
いまどきの科学者がこの4規則ならなる方法を意識して使うことはまずないでしょう。しかし、人文系の研究者にとって、デカルトの4規則は今でも有用です。議論の出発点としても結論としても、曖昧な点・不明な点は極力排除し、明晰判明なテーゼを提示せよ、主題をより単純な下位の論点にわけよ、その論点を順序正しく構成して全体の議論を作れ、そして、重要な論点、必要な項目を見落としていないかどうか、最後に枚挙の精神で全体を再検討せよ、という具合になります。
私がとくに気に入っているのは、最後の「枚挙の規則」です。一度自分のテーマに関して、枚挙を心掛けることは、思わぬ発見をもたらしてくれる可能性があります。ふつうの日本語では「虱潰し」ということになるでしょう。もちろん、いつも虱潰しをしているわけにはいかない。でも、研究のある段階で、意識的に虱潰しを試みることはとても有用な発見や洞察をもたらしてくれます。[カザフスタン戦]
ワールドカップ最終予選に向けての、テスト・マッチ、日本対カザフスタン戦をちびどもが寝付いてから見ました。つまり、後半のみ見ることができました。4対0で日本の勝ち。まずまずの仕上がり具合です。あとは、厳しい試合でどれだけ耐えて、どれだけ突破できるかです。
ちいさいちびがおきてあばれて、7時前。昨夜はまるで赤ちゃんのときのように、2〜3時間おきに目覚めて、ミルクと言いました。いまは何度目かの反抗期。我々は、ヤーダヒメと言っていますが、何か言うと、ヤーダ、ヤーダ。(アンパンマンに「やーだ姫」というのが出てきます。それにちなんでいます。)自我の強い子なので、反抗期の反抗ぶりは中途半端なものとはなりません。ちびどもの風邪がうつったようです。軽い頭痛、気分が少し悪い、おなかが少し緩い。たぶん、抵抗力ができているので、これぐらいの程度ですんでいるのでしょう。でも、症状の内容は、ちびどものものと同じです。
幼稚園で、ひとり、同じ風邪になった子がいるようです。吉本菌と名付けられてしまったと言うことです。あちゃ、ま。
私は少々の風邪や病気では、食欲が変わることがありません。しかし、今回は、症状はひどくありませんが、軽い吐き気がして、ふだんの半分近くしか食べる気になりません。ちびどもより早く6時頃に布団に入りました。さすがに、ちびどもの寝た後、目覚めてちょこちょこといろいろやっていますが、気合いは入りません。昨日大学につくと、雄松堂より、ハートリッブ・ペーパーズのCD-ROM第2版の案内が届けられていました。出版年は2002年。値段は50万7千7百38円。初版にはない、イエール大学、大英図書館、ボドリアン図書館所蔵の資料も収録されているということです。
さて、裏に、さまざまなマイクロの案内がありました。
私が世話になっている、Early English Books On Line のもとのコレクションがまるまるマイクロフィルムで発売されています。その第1集が、4878万円。その第2集が7966万円で売られています。すごい値段です。大きな図書館以外では、購入することができない金額です。(なお、聞いたところでは、早稲田大学がこのコレクションを所蔵しているとのことです。さすがに早稲田。お金があります。)[ファイルの整理]
パソコン上のファイルの整理には結構困っています。数が少ないうちはなんとでもなります。しかし、数が増えてくるとやっかいです。フォルダー(ディレクトリー)で分類を工夫すればよいのですが、あまり深い階層を作ってしまうと見失います。基本的には、デスクトップから1回のオープンで見える階層に関連ファイルを集めてしまうのがよいように思います。しかし、あれこれ作業をしていると、どう分類すればよいかで迷ってしまい、あっちこっちのフォルダー(ディレクトリー)を探し回ることになります。
もちろん、見失ったときには検索をかければよいのですが、ファイルの命名法そのものがそれほど一貫していない場合には、検索語で迷います。もちろん、ファイル名の付け方をきちんと決めているものもありますが、どうしてもその枠に収まらないものがでてくるのは致し方がないかと思っています。
その点、論文のコピーは、自分の研究分野ですから、もっともきれいに、著者名のアルファベット順で整理することができます。
ちいさいちびと同時に、7時。[pdf の整理]
1月23日に論文のコピーの整理法について記しました。ICUの那須敬さんが同日の日記にウェブからダウンロードした pdf 等のファイルの整理について記されています。
このサイトで定期的に報告しているように、私の行っている「千のキミア」は、キミアを中心としてウェブから1000の著作をダウンロードしようというものです。現時点で600点を超えています。そのうち、ほんとうにしっかりと整理できているものは、およそ半分です。残りは、ハードディスク上のどこかにありますが、ぱっとみてわかる状態にはなっていません。
1月23日に記した紙のコピーの整理法ですが、卒論を書いたときの反省から私がまったく独自に工夫したものです。卒論のときは、「マートン・テーゼ論争史の分析」を主眼としました。おそらく100点に近い英語の論文をコピーをとって読んだと思います。そのときはまだバインドしていなかったので、最後、執筆時に寮の机とベッドの上にコピーを開いたままばらまいて、必要なものを手元にもってきていました。カードの利用ははじめていましたが、カードに記すのをサボった事柄(とくに書誌事項と引用箇所のカード記入が100%ではなかった)を調べるのに非常に手間取りました。
どうすればよいのだろうと考えていたら、脳裏に、渡辺正雄先生の、研究には職人的な部分がある、毎日毎日の手仕事の部分があるという言葉が甦りました。
そのとき再度調べることの手間に懲りて、将来引用する可能性のある部分に関しては、必ずその場でしっかりとカードに書誌事項と引用ページを記入するようにしました。朝食を用意するのと同じ感覚で、書誌事項と引用箇所はノートを取る。慣れてしまえば、まったくなんてことはありません。カード法をロンドン留学を機に、コンピューターのファイル方式に変更しました。実は、その変更に伴う混乱を、いまでもうまく解決することができていません。混乱をまだ引きずっています。
カードを必ずとり、重要なものに関してはノートをとっていた時代の方が、研究方法としては完成していました。まるまる一日ノートをとって、指が痛くなったことを思い出しますが、そうした作業によって読んだことがらが脳裏にしっかりと刻まれた気がします。
コンピューターは、便利です。とくにインターネット上のリソースが利用できるようになってからは、世界が次元1つ分大きくなりました。私が「千のキミア」でダウンロードしている著作なんて、日本中の図書館を全て探し回っても、見つからないものが相当割合あります。
博士課程の初年度に、「ボイル全集の引用索引」というものを作成しようと思い立ち、ボイル全集を全部繰って、引用箇所を著者別にカードにとりました。ボイルの引用する著者、著作の同定のために、図書館の書庫にこもって、アメリカ議会図書館の編纂になるNational Union Catalogue やブリティッシュ・ライブラリーの一般カタログ、それにビブリオテーク・ナショナールのカタログと格闘したあと、図書館のカードをいっしょうけんめい繰りました。日本にはない、それがそのときの結論でした。
もちろん、東大の本郷図書館でガッサンデイの『ディオゲネス・ラエルチオス卷10注解』という稀書を見つけたり、京大や九大(とくに桑木文庫)にそれなりのものはありましたが、私の作成したリストの1割にも達しませんでした。
ということで、「ボイル全集の引用索引」は現物との照合をしないまま作成することとしました。(もちろん、ベイコン、デカルト、ガッサンディ等、その時代の最有名人物を例外としてです。)ひとつの著作に複数の版がある場合、ボイルだけではなくこの時代の人は原則版を記しませんから、現物との照合をしないと版の特定ができません。それで仕方なしに、引用索引の著作リストでは、初版をあげています。初版の出版年は、ひとつの意味ある情報ですが、私はボイルの引用した版を同定したかった。
でも、そのときの状況では無理でした。
その欠乏感をずっと抱えたままでした。
21世紀に入って、ガリカやUCM (マドリッド大学のデジタル・ライブラリー、とくにディオスコリデスと称する部分)を見出したときの思いには格別のものがありました。当分使う予定がないのに、ともかく1000という具体的な数値目標を敢えて設定し、デジタル・ファイルのコレクションに走っているのは、その欠乏感に起因すると言ってよいでしょう。そして、話はもとに戻って整理法です。
私自身は半分しかできていませんが、ダウンロードしたその場で、BoyleColour.pdf とファイル名を変更し、ダウンロードしたものはすべて同一フォルダー(ディレクトリー)に入れておくのが一番よい整理法だと考えます。そうしておけば、そのフォルダー(ディレクトリー)を開けたときに、著者のアルファベット順のきれいなリストが出現します。
(もちろん、研究に使ったものに関しては、そういうふうにしています。数は60数点。ちょうどダウンロードした数の1割です。)たぶん、論文のコピーの整理法も、今日記した pdf の整理法も、すでに研究者の間では共有される文化になっているのではと思われます。(確認はしていません。)
でも、修士にはいってすぐに生協の片隅で「製本セット」を見つけたときは、うれしかったな。これでやっときちんと整理ができる、そう思いました。
なお、私の勤める東京外大の生協には、「製本セット」はおいてありませんでした。その場合は、幅36ミリ長さ10メートルのロールでおそらく380円の製本テープと、色のついて少し厚めの紙を買ってくれば、製本セットがなくても、大丈夫です。
生協の製本セットには、青と黒しかないので、私は途中から邦語論文には、黄色(あるいは土色)のテープを背表紙に使うようにしています。1月24日にユザワヤで買った製本テープは、パステルカラーの緑と水色です。(ちいさいちびに見つかって全部やっつけられるとさすがに困るので、まだ見つからないようにストックしてあります。)
ちいさいちびがおきて、7時。雨が降っています。今日は会議の日ですが、珍しく何も会議の通知がありません。ちいさいちびの襲撃を受けつつも、作業をいくらかでも進めておこうと思っています。
昼間、東京大学出版会からどさっと書籍小包がやってきました。なにかと思ったら、日曜日に切手を12枚送って、送付を依頼した『UP』でした。2004年度の『UP』12冊をまとめて依頼したものです。読みたい連載がありました。
[地図上の大陸]
チケット代金を支払ったのはよいのですが、パリもフランスも私にはまだ点です。せめて私の認識を2次元にするために、まずはドゴール空港からホテルまでの道筋を地図で探してみました。基本的な地図がまったく頭に入っていないのでけっこう苦労しましたが、たしかに飛行場に近い側でした。すなわち、北側。17区。でもパリ市内であれば、飛行場へのアクセスをそれほど気にする必要がないことがわかりました。一番近い目印はモンマルトル墓地。
そう言えば、これが大陸に足を踏み入れる最初となります。私はこれまで日本、ブリテン、台湾にしか足を踏み入れたことがありませんでした。ユーラシア大陸は純粋に地図上の存在だったわけです。[桑木野氏論文]
ピサ大学の桑木野氏より次の論文を送っていただきました。ありがとうございます。
桑木野幸司「アニムス(心)教育の普遍的劇場あるいはコモンプレイスの展覧:ザムエル・クヴィヒェベルク『広壮なる劇場の銘あるいは標題・・・』(1565)における理想のミュージアムと書記情報処理システムの空間化」
『日本建築学会計画系論文集』2005年4月、No. 590.
簡潔にして、興味深い論文です。個人的には、切り捨てた部分、省略した部分をフルに展開したものを読みたいと思います。量的にはおそらく10倍以上になるのではないでしょうか。[フロッピードライブ不調]
今私の使っているマシンは、1996年に購入したものです。パワーマック7600というのに、G3 カードを刺して使っています。キーボードとマウスは一度交換しています。ハードディスクは、完全に入れ替えています。もちろん、メモリは200Mを超える程度に増設しています。
さて、そろそろ10年になるわけですから、とてもよく働いてくれていることになります。しかし、どうも最近フロッピードライブの調子がいまいちです。フロッピーを挿入すると変な音がして、フリーズします。
個人的にはフロッピーはなくても平気なのですが、仕事でフロッピーを使います。要するに印刷所に対する入稿をフロッピーで行っています。
仕方がないので、外付けのドライブを買おうかと思っています。
ひとりで7時。昨日おおきいちびはいつもの4分の1程度しか食べませんでしたが、もうもどすことはなかったということです。やまはすぎました。本人はやはり幼稚園に行きたいと泣いていましたが、他の子にうつるといけないので、本日も休ませる予定にしています。→半日行かせることとなりました。
[千のキミア、Last Night]
昨夜は、ついたばかりの『地球の科学:事件、人物、現象の百科事典』の鉱物学の項(歴史は、マルコ・ベレッタが執筆しています)を読み、ベルツェリウスとロメ・ド・リールの鉱物学論考をダウンロードしました。あわせて10点。[コレクション]
昨夜、ガリカらからダウンロードをしている間に、一昨日買った、長山靖生『おたくの本懐:「集める」ことの叡智と冒険』(ちくま文庫、2005;初版は1992年でそのときのタイトルは『コレクターシップ』(JICC出版)でした)をだいたい読みました。オタクと言うよりも、むしろ古典的なコレクターの話です。おたくの話を期待すると、オタク的な対象がないと失望するかもしれません。私には、私のあまり知らない美術品のコレクターの話が面白かった。[フニアデス]
チャールズ・ウェブスターの『大革新』を読んでいたら、ヨハネス・フニアデス (Johannes Huniades) というハンガリー出身の医化学者が、ジョン・ウェブスターに医化学を教えたという記述に出会いました。アンビックスに論文がひとつあるようですが、すぐには入手できないので、ウェブでこの人物を調べてみることにしました。
まっさきにハンガリー語のサイトが出現しますが、さすがに固有名詞 (Bánfi HUNYADI Jáos, 1576-1646) 以外にはほとんどわかりません。この人物は、イギリスに移住したあとペンブルック伯のキミストとなっています。すこし英語のサイトにも言及がありました。
検索している間に、次のサイトに出会いました。
1.ポーツマス&マクレズフィールド・コレクション
2.トーマス・ブラウン卿Sir Thomas Browne のサイト
1.は、有名なポーツマス・コレクションの拡張版でしょう。草稿の画像が見られるようになっています。そこにフニアデス (Transilvanus, Johannes Huniades Ungaro)がウィリアム・オートレッドに宛てた1637年12月15日付の手紙がアップされていました。こんなレアな資料が見られるとは。
2.は、James Easonさんがブラウン卿に捧げる渾身のサイト。テキストもありますし、関連情報も豊かです。この時代の本よりも読みやすい活字でウェブサイトを構築されています。立派です。ちょっと違うスペル、Hunyades で検索をかけると、次の2つの論文がでてきました。
F. Sherwood Taylor and G. H. Josten, "Johannes Banfi Hunyades", AMBIX, 5(1953), 44-52
JOHN H. APPLEBY, "Arthur Dee and Johannes Banfi Hunyades : further information on their alchemical and professional activities" AMBIX,24(1977), 96-109
この2点を読むとそれなりの情報が得られそうです。
ちいさいちびがめざめてさわいで、6時半。
昨夜の雨は上がっています。快晴かどうかはわかりませんが、寒さも緩んだようです。うつすといけないので、たぶん、きょうの幼稚園はお休みにさせます。昨日おおきいちびは幼稚園に行きたいと泣いていましたが、お友達がもどすとかわいそうでしょ、という言葉でなんとか納得した(あきらめた)ようです。ちびどもはくっついて遊びますから、どうしてもうつりやすい。今月は、これで100枚を超えました。一度記録を作っておこうかしら。
[地学事典]
家に帰り着くと、アマゾンのマーケットプレイスで注文した次の事典が届いていました。
Gregory A. Good (ed.),
Science of the Earth: An Encyclopedia of Events, People, And Phenomena,
2 vols., New York: Garland, 1998
新刊だとかなり高い(250ドル)事典ですが、マーケット・プレイスなので、送料込みで30.77ドルでした。状態は新刊と同等なので、これはお得でした。[ボイルのサイト]
実はマックではトップページが真っ白になって見えないのですが、マイケル・ハンターが主催するRobert Boyle Home Pageを久しぶりに見てみました。ボイルの草稿をホームページにアップするプロジェクトがどの程度進行しているのか確かめるためでした。
Royal Society Boyle Papers
上のリンク先にある通り、第2,8,9, 10,17,18, 25,26,28, 36,38卷に関して、草稿の画像のアップが進んでいました。ただし、文字がきれいで画面の状態がよいものを除き、読むのは大変だと思います。[製本テープ]
昨日、コピーをホッチキス留めしたものの背中に製本テープを張っていたら、ちいさいちびがやってきて、自分にもやらせろと言います。仕方がないので、やらせたら、1巻まるまる使って、フロッピーケースをミイラ状態にしてしまいました。ずっと昔に買ったものなので、あきらめました。
でも、コピーの整理に製本テープが必要なので、大学からの帰り道、ユザワヤによって新しいものを2本買ってきました。これまでとは違う色のものにしました。色によっていつごろバインドしたものかわかるようになります。
ちいさいちびがめざめて、7時。今度はおおきいちびの顔色がすぐれません。寒いというので毛布をもってきたら、毛布のところでなにやらくちからもぞもぞ。ふざけているかとおもって、しかったら、もどしていました。ちいさいちびの風邪がうつったのでしょう。
ちいさいちびもまだすこし気分がすっきりしないのか、やたらごねたりあばれたり。→あちゃ。風邪の反射でしょうか、ちいさいちびももどしました。こどもが風邪を引くとこういうふうになりやすい。
結局ちいさいちびの風邪はたいしたことがありませんでした。直りきっていないが、でももうしばらくすればいつもと同じまでもどるでしょう。おおきいちびは、本格的なおなかの風邪のようです。昼間は、なにかを口にすると、もどすというのを繰り返しました。おおきいちびにはうまれてはじめての体験で、苦しいようでした。泣き虫だからということもあるのですが、もどすたびに泣いていました。ちびどもが昼寝をしているあいだに、駅前の本屋さんまででかけて、本1冊と雑誌を2冊買ってきました。
長山靖生『おたくの本懐:「集める」ことの叡智と冒険』ちくま文庫、2005
『サイゾー』『新潮45』
[ホッチキス]
ちいさいちびは、昨日買ってきたものがホッチキスだと言うことがわかったようです。買うときにはひとりで買って、箱入りのまま袋に入れていたのですが、箱の絵でホッチキスだとわかったようです。昨夜、私の部屋に来て、新しいホッチキスはどこだと聞きます。仕方がないので教えると、いろいろ触りたがります。針の装填の仕方を覚えているので、針の装填・離脱を試みます。バネが強くちびの力ではまだ無理。私が手伝ってやって何度か装填・離脱を繰り返すと満足したようで、昨夜はそれでOK.
私は、今日になってそこいらじゅうにとってクリップで留めただけ積み重ねてあるコピーの山の整理にかかりました。4分の3程度はできたと思います。
その間にもちいさいちびはやってきて、昨日私がやっていたこと、すなわちラジオペンチでつまった針を取り除く作業をさせろと言います。仕方がないので、からの針をだしてやると、一個一個ラジオペンチでつまんで満足そうです。20本ほどその作業をして、得心がいったようで、居間に戻ってくれました。
[コピーの整理法]
ふだん私はあまり、学生にも後輩の研究者たちにも、こうしたほうがよい、ああしたほうがよい、ということは言いません。私が教えを受けた師匠たちでは、あまり言わない方の方が信頼できたせいもあります。しかし、ここで一言伝えておきます。
理系の研究者がどのように先行研究や本を読んでいるのか、わかりかねる点があるのですが、文系の場合、研究者であるのならば、論文や購入できない本のコピーをとることは日常的な仕事の一部です。
その論文のコピーですが、生協で売っている製本セットというので、その日のうちに製本し、背中にタイトルを記しておくのが正しい整理の仕方です。可能であれば、コピーをとったその日のうちに、読んで、カードあるいはカードに準ずる(読書ノート)をとっておくのがよいでしょう。カードやノートは、基本的には自分にとっての重要度に応じて、ごく簡単に日付(コピーをとった日、読んだ日)とテーマ(基本的主張)を記すだけのものから、きちんと論点を整理してちゃんとしたコメントを付すものまで、書き分ける必要があります。ノートのとりすぎはよくありませんし、まったくとらないのもよくありません。研究テーマが決まっていれば、自ずとどの程度とるべきかはわかってきます。
私個人の例で言えば、22歳のときから30歳前後までは、このことを実行することができていました。30歳過ぎてから、つまり、就職してからはなかなか「その日のうちに」ということができなくなりましたが、翌日、あるいは翌々日までにということを心掛けています。(それもできないことも、最近はままありますが、自分の原則として立てておくかどうかは大きな差です。)
そして、製本したものを本棚に並べておく。数が少ないうちはテーマ別でもよいでしょうが、数が多くなると結局著者名のアルファベット順が一番便利だと思います。そうしておくのが一番探しやすいでしょう。
さて、それで困るのが別刷りです。研究者なかまの方が別刷りをくれます。ありがたいのですが、整理に困ります。数が少ないうちは、クリアーファイルに入れていましたが、多くなるとそれも不便。これに関しては、私はこれぞという決定的な方法を見出していません。重要なものは、机の上の本立てに並べています。残りは、仕方なしにクリアーファイルに入れていますが、必要になったときにクリアーファイルを数冊は繰ってみることになります。
そう、おおきなホッチキスは、コピーの製本に必要だったので、大学院にはいってすぐに買ったものです。それ以来20数年の時間がたっていますから、よく働いてくれたわけです。(なお、ささいなことですが、私はホッチキスの山は、ラジオペンチですぐに潰しておきます。怪我の可能性を低くするためと、少しでも場所をとらないようにという配慮からです。)
ちいさいちびがめざめて、7時15分。ちいさいちびは一応なおったようです。安心。
学生時代から使っていた大きいホッチキスの調子が悪いので、ユザワヤに新しいものを買いに行きました。ちびどもも連れていって、ユザワヤで少し遊ばせ、昼食を食べてから帰ってきました。ホッチキスは13ミリの針から、17ミリ、20ミリ、24ミリの針が使える機種です。私が使うのはおそらく20ミリまでです。
2時半に、アマゾンから次の2冊が届きました。
Francis Bacon,
The History of Life and Death. With Observations Naturall and Experimentall for the Prolonging of Life.
London, 1638: Reprinted by Kessinger,
Charles Webster,
The Great Instauration: Science, Medicine and Reform 1626-1660,
2nd edition, Oxford: Peter Lang, 2002 (first published in 1975)
このウェブスターの有名な書物は、1975年に出版されて以来、この分野の古典となっています。出版年が古いので、長く品切れでした。再刷を求める声を受けて、ドイツの出版者が(けっこう苦労したようです)2002年にやっと第2版を出すことに成功したものです。630頁の大冊で、コピーを取るのも大変でした。今回は、本文は初版のまま残し、第2版への序とイントロを付加しています。
たとえば、第4章は「長寿法」です。つまり、最初のベイコンの本がテーマとするものです。246頁から323頁、すなわち、78頁をしめます。この章の最初の注は、ロジャー・ベイコンです。(秘密についての書簡。)[千のキミア、Today]
アユイ、ジョフロア等、合計13点。(メツジェがあるかと思ったのですが、ありませんでした。たぶん、まだ著作権がきいているのでしょう。)
ちいさいちびがめざめて、6時半。最近咳はしてもほとんどもどすことのなくなったちいさいちびですが、昨夜は、何かがあたったか、ウイルスに罹ったか、おなかがいたいといって、もどしました。
理由はよくわかりませんが、一種のあかちゃんがえりが生じています。2時間おきに目をさまし、ミルクを飲みたがります。昼間もちょっと調子が悪かったり、思ったようにいかないと、暴れます。去年の冬よりはさすがにましになっていますが、去年より重くなっているのでたいへん。→ほんとうに病気のようです。朝になっても、咳をせずもどします。医者に行っていないので正確にはわかりませんが、胃腸に来る風邪だと思われます。幼稚園の子どもたちのあいだで、すこしそうした子がでてきているということです。→お昼前に昼寝をしました。顔が病気のときの顔になっています。→私がおおきいちびを幼稚園に迎えに行っている間に、下痢もしたのだそうです。風邪がおなかにきたものと見ておいてよいようです。日が暮れたあたりから咳がでるようになりました。朝一番で歯医者。→おねえちゃんを幼稚園に送ったあと、歯医者さん。虫歯の部分にかぶせものをして、終了。これでしばらく様子をみましょうとのことでした。
[千のキミア、整理]
ぼちぼち「千のキミア」プロジェクトを進めています。今日は、およそ1時間を使ってピエール・デュエム(27点)やジョン・トーランド(7点)等々のダウンロード分、総計50点近くを整理し、 科学史の部屋にアップしておきました。整理には意外に時間がかかりますが、整理しておかないとあとからまったくつかえない。[スコブルその後]
何と、3日続けて朝日の東京欄に取り上げられていました。朝日の記者に気に入られたのでしょうか。まさに迷宮的な古本屋さんなので、朝日の記者が魅入られてしまったかもしれません。倉庫に本がたくさんあるというのはおっちゃんに聞いていたのですが、100万冊あると今日の記事にありました。100万冊はすごい。私の勤める大学図書館に総数100万冊の本はないと思われます。(正確な記憶ではありませんが、数十万冊だったと思います。)
ひとりで6時。どういうわけか、ちいさいちびが最近朝方によく咳をします。朝、小さいちびが幼稚園についていかないといって、急遽私がおねえちゃんを送っていくことになりました。ふだんは歩きますが、遅刻しそうだったので、自転車。ついでに、ボルドー会議のための飛行機代金を振り込んできました。あとは発表原稿です。
[スコブルのおっちゃん]
この場所に引っ越す前、よく通っていた古本屋さんが昨日、今日と2日続けて朝日新聞に出ていました。今日顔を載せている店主(本当の店主は女性の方です)の方は、人なつこい方で、私も夜中ふとでかけたとき、よく話していました。私より年上、しかも相当年上だとばかり思っていましたが、ほぼ同じ年齢、実は1歳年下だということがわかりました。引っ越して遠くなったので、最近はほとんど行っていませんが、深夜の2時〜3時まで開いている何とも独特な古書店です。思想系・文学系・芸術系に強く、とくにカウンターカルチャーに強い。よい本であれば(ここでよい本というのは、古本屋の市場で高く評価される本と言うことです)、高く買ってくれます。
朝行っても、昼行ってもあいていませんが、夜はあいています。
[点検・評価の季節]
大学から、教員自己評価調査票というのがメールで今朝送られてきました。説明書だけで15枚(pdf)あるなかなか大変な調査票です。調査票はウィンドーズ用のエクセルファイルに入力フォームが設定されています。マックでもシートに直接入力で大丈夫とあるので、まずは属性項目、担当授業項目だけでも入力しておこうと作業していました。2004年度に出版した論文の出版者名をコピーペーストしようとした途端、エラーでエクセルが終了。別名で保存したはずのファイルがどこにも見あたりません。ということで、40分の作業がまったくパー。
こういうのは、ほんとうにいやな気分になります。
→気になるので、大学のマシーン2台(マックとウィンドーズ)でも試してみました。そもそも私の環境では入力した後、保存ができませんでした。ウィンドーズでもだめだったので、事務に電話で連絡をして、その後の処理をひとまず任せることとしました。→翌日、ファイルにバグがあった旨のメールが流れました。やれやれ。[迷宮的]
5限は、シンポジウム「迷宮的―グローバリゼーションと想像力―」でした。
パネリストは、小谷真理+高橋世織+野谷文昭+和田忠夫の4氏。司会は私が担当しました。
まるで笑点のように、パネリストのみなさんには、「迷宮的―グローバリゼーションと想像力―」というタイトルだけが与えられ、話す内容は考えてきて下さいというものでした。議論が「迷宮入り」しないかと心配したのは私だけではなかったようですが、面白い連想ゲームのように展開しました。6時40分まで。
例年のことですが、終了後、近所のレストランで、ご苦労様の食事会。途中から、西谷先生も参加され、他では聞くことのできない話を聞くことができました。
小谷真理さん、高橋世織さん、野谷文昭さん、いつもほんとうにありがとうございます。なお、 小谷さんのエッセイは、ウェブ上で一部読むことができます。去年朝日新聞に寄せられた文章もあります。
西谷修さんの話の一部は、去年のUP(東京大学出版会広報誌)にあります。
ひとりで6時。昨夜、歯の治療のショックが抜けず、ちびどもといっしょに寝たためです。お昼のいちばんで、卒論と修論を受け取り、来年度のシラバス(学部)を渡しました。卒論は4本、修論は1点。シラバスを渡すと、ほっとします。たぶん、次は大学院のシラバスの執筆依頼が来るはずです。
水曜日ですから、会議の日。2時から研究所で打ち合わせ。2時半から大学院教授会。教授会はもめなければいいのですが、どうなりますことやら。→そもそも審議すべきことがらがあまりなく、4時前に終わりました。ありがたや、ありがたや!
[アンセルムスとクサーヌス]
本日付けの平井さんのサイトで紹介されている、Site of Prof. Jasper Hopkinsですが、クサーヌスだけではなく、アンセルムスの英訳もpdf でアップされています。すばらしい。個人でここまでやられている方は、稀有です。午前中に日本のアマゾンから、次の書物が届きました。
George Ripley, Compound of Alchemy,Kessinger, (First published in London, 1591; Reprinted by Johnson, 1977)
奥付には、1471年の書物のリプリントとあります。最初のページが107頁です。つまり、107頁から193頁だけをとりだしてリプリントしたものです。値段が2421円。この出版社のものは、安いのが取り柄です。
なおフルタイトルは次の通りです。
The compound of alchymy.
Or The ancient hidden art of archemie :
conteining the right & perfectest meanes to make the philosophers stone, aurum potabile, with other excellent experiments.
Diuided into twelue gates.
First written by the learned and rare philosopher of our nation George Ripley, sometime Chanon of Bridlington in Yorkeshyre:
& dedicated to K. Edvvard the 4.
Whereunto is adioyned his epistle to the King, his vision, his wheele, & other his workes, neuer before published:
with certaine briefe additions of other notable writers concerning the same.
なお、このKessinger にリプリントされた部分(12の門)は、levity.com にテキストがあります。スペルがモダナイズされていますが、同じテキストです。
おおきいちびがおしっこといって、7時。[歯医者]
実は、年末あたりから右下の奥歯が冷たいもので痛く感じるようになっていました。早く歯医者に行かなければと思いつつ、なんとか15日・16日の業務をこなしました。おおきいちびの歯科検診が今朝です。ちょうどよいので踏ん切りをつけて、朝方、歯医者に行ってきました。(妻が世話になった歯医者さんです。)丁寧に親切に治療してくれましたが、いかんせん、空気を吹き付けられるとじーん、じーんとしみる。今日の治療は1時間ですみましたが、帰ってくるとよれよれ。本当にふつうの状態に回復できるまで、おそらく2〜3時間はかかるでしょう。ふー。[クラメル]
年はじめ、18世紀コレクションのサイトから、クラメルの『金属試金法の基礎』という本をダウンロードしました。
もとはラテン語で、1739年に出された本(Elemanta Artis Docimasticae, Leyden, 1739) の英訳です。
Johann Andreas CRAMER
Elements of the Art of Assaying Metals.
In Two Parts. The First containing the Theory, the Second the Practice of the said Art.
The Whole deduced from the true Properties and Nature of Fossils; confirmed by the most accurate and unquestionable Experiments, explained in a natural Order, and with the utmost Clearness...
To which are added, Several Notes and Observations not in the Original, particularly Useful to the English Reader.
With an Appendix, containing a list of the chief Authors that have been published in English upon Minerals and Metals
London, 1741.
クラメルは、一時期ライデン大学で試金法を教授した後、1743年から73年の長きにわたりブランケンブルグの鉱山・冶金の責任ある地位 (Councillor ) にあった人です。
訳者がつけた最後のおまけが私には有用です。つまり「鉱物と金属を扱った英語の著作家のリスト」というものです。
1.ガブリエル・プラッツ;2.アルフォンソ・バルバ;3.ジョン・ウェブスター;4.ボイル;5.ジョン・ペトス;6.ジョン・フートン;7.ジョン・レイ;8.ジョン・ローレンス;9.ロバート・プロット;10.エドワード・ブラウン;11.エマヌエル・スウェデンボルグ;12.医師ウッドワード;13.クリストファー・メレット;14.ネヘミア・グルー;15.ヨハネス・クンケル;16.ゲオルグ・シュタール;17.J.C. フリッツキウス
この17名が列挙されています。このなかで、私は、8.と12.と17.を知りませんでした。ちょっと驚いたのは、スウェデンボルグ(スエデンボルイ)の名前が挙がっていることです。その部分を訳しておきましょう。
「ラテン語を解するもののために、エマヌエル・スウェデンボルグの次の貴重で価値ある書物を言及しないわけにはいかないであろう。Principia Rerum Naturalium, sive novarum Tentaminum Phaenomena Mundi Elementarii philosophice explicandi. 1734. フォリオの3巻本。この第2巻ならびに第3巻は、海を越えた全ての場所での金属業の方法と新しい進歩について最良の説明であるというだけではなく、この英国と我々の植民地アメリカにおける鉱物業についても最良の説明を与えるものだ。(以下略)」
ゲーテの例を考えあわせると、「鉱物をめでる神秘主義者」あるいは「鉱物を研究するロマン主義者」という言い方ができるようです。
去年の9月6日の日記に記したこととあわせて、鉱山技術書&冶金術書の流れを概観しておきましょう。
まず、16世紀に重要な書物が3点出版されます。ビリングッチョ『ピロテクニカ』(1540);アグリコラ『デ・レ・メタリカ』(1556);エルカー鉱石と試金について』(1574)
1. Vannoccio Biringuccio, De la pirotechinica, Venice,1540.
2. Georgius Agricola, De re metallica, Basel,1556.
3. Lazarus Ercker, Beschreibung allerfürnemisten mineralischen Ertzt unnd Bergwercksarten, Prague, 1574.
さて、上に列挙された英語の本というのは次の通りです。17世紀から18世紀にかけての出版です。
1) Gabriel Plattes, Discovery of Subteraneall Treasure, London, 1639
2) English Translation of A.A. Barba, Arte de los Metales, by Edward Montague, Earl of Sandwich, 1669
3) John Webster, Metallographia, London, 1671
4) Robert Boyle, "General Heads for the natural history of a Country", London, 1692 ; and other works
5) John Pettus, Fodinae Regales, London, 1670 & Fleta Minor, London, 1683 (The First Part of Fleta Minor contains Assays of Lazarus Ercker)
6) John Houghton, A Collection for Improvement of Husbandary and Trade, London, 1727
7) John Ray, A Collection of English Words not generally in use, London, 1737
8) John Lawrence, A New System of Agriculture, London, 1726
9) Robert Plot, Natural History of Staffordshire, Oxford, 1686
10) Edward Brown, A Brief Account of some Travels in divers Parts of Europe, &c. London, 1685
11) Emanuel Swedenborgius, Principia Rerum Naturalium, sive novarum Tentaminum Phaenomena Mundi Elementarii philosophice explicandi, 1734
12) Dr.Woodward, Fossils of all Kinds digested into a Method, London, 1728
13) Christopher Merrett, Pinax Rerum Naturalium Britannicarum, London, 1667
14) Nehemiah Grew, A Catalogue and Description of the natural and artificial Rarities belonging to the Royal Society, London, 1681
15) Johann Kunckel, An Experimental Confirmation fo Chymical Philosophy, &c. (Originally in 1694)
16) Georg Ernst Stahl, A Short Discourse on the Original of Metallick Veins,
17) John Christ. Fritschius, The Grounds of Pyrotechnical Metallurgy, and Metallick Essaying.
→気になるので、最後の3つについて調べてみました。最後の3つは、一冊にまとめた本が出版されていました。次のものです。
Pyrotechnical discourses. Being
I. An experimental confirmation of chymical philosophy / Written by John Kunckel ...
II. A short discourse on the original of metallick veins; by George Ernest Stahl
... which may serve as an answer to Dr. Woodward's Theory of the earth, and was a forerunner to III.
The grounds of pyrotechnical metallurgy and metallick essaying; by John Christian Fritschius ...
All faithfully translated from the Latin . 1705
これでおまけのおまけで、クンケル、シュタール、フリッツが並んでいるのがわかりました。ウッドワードの出現も理解できました。
なお、ウッドワードの書物は、18世紀コレクションにありました。
Woodward, John.
Fossils of all kinds, digested into a method, suitable to their mutual relation and affinity;
... As also several papers tending to the further advancement of the knowledge of minerals,
... By John Woodward, ... London, 1728
ちいさいちびが目覚めて7時前。学期中はこのぐらいがちょうどよい。[試験日程]
大学につくと、試験日程が発表になっていました。
科学思想史試験:2月17日(木曜日)、3限、227教室
総合科目III「科学技術と社会」試験:2月21日(月曜日)、2限、227教室
すなわち、今日の2限の授業の試験日は、最終日です。なんと、4年生の成績は、2月22日午後12時半までに提出とのことです。めちゃくちゃな日程です。めちゃくちゃですが、仕方がないので4年生の分だけ当日採点して、教務課教務係に渡そうかと思っています。[夜中に汗汗iii]
一昨日の夜探していた別刷りというのは、これです。
ロバート・ボイルの読書/引用/執筆―ボイルのマージナリアの分析―」『東京外国語大学論集』第68号(2004、7月),pp.129-151.
気になることがあって、かなりその後も作業を進めています。その結果をこの別刷りに赤で書き込んでいたのでした。私以外にはそもそもあまり意味のとれない書き込みだと思いますが、私には貴重です。
さて、新しい『ボイル著作集』と再度格闘を開始して、フェールが気になってきました。ボイルは、ヘラート・デ・フェールの『ノヴァ・ゼンブラへの航海記』(1594-96)を『冷の実験誌』(1665)において数多く引用しています。その引用の際、ボイルはパーチャスの旅行記集成に収録された版をつかっています。11箇所、私は引用箇所を確認しています。その確認のために、東京海洋大でコピーをとったパーチャスの該当個所を使ったはずなのですが、そのコピーが見つかりません。マルコ・ポーロやバフィン等その他の航海記はちゃんとひとつにまとめてファイルに綴じています。しかし、フェールだけ見つかりません。
仕方がないので、ボイルが紛失したという1609年出版の英訳と比較してみることにしました。やってくれています。その英訳は、ページ付けが一切ありません。印刷所のための丁記号は少しだけついていますが、フォリオの数字もページもまったく付されていません。印刷のはじまったページを仮に1として数えれば、178頁の書物です。どうやって引用すればいいのでしょうか? 航海記なので、日付を記すしかないようです。しかもボイルはこの英訳について、「ほとんどお目にかかることのない書物」と記しています。引用するとすれば、見つけて見ろ、みたいな感じで引用するのでしょうかね。
ひとりで6時。夜中中、冷たい雨音が続きました。寒い朝。昨日に続き、本日も、業務。昨日は6時半終了、今日は4時半終了。やはり今日の方がずっと楽です。
雪になるという予報の雨でしたが、ずっと冷たい雨のままでした。さて、土日の業務はおわりましたが、金曜日までいろんな書類を処理する必要があります。私の担当している授業の試験が終わるまで、もうすこし。
[夜中に汗汗ii]
昨夜、別刷りと同時に探していたものは、ガブリエル・プラットの『地下の宝の発見』という書物です。ダウンロードした記録があります。ということで、HD内を探していると、バルバ神父の鉱物論書といっしょに18世紀に出版されたものが見つかりました。18世紀コレクションのサイトにあがっているものです。土日の業務の休み時間に研究室でpdfからプリントアウトしようと思って、データ搬送用ジップにコピーしておきました。
と思ったら、家捜し中に、ちゃんとプリントアウトしてクリップで留めたものがでてきました。
『地下の宝の発見、すなわち、金から石炭までのあらゆる種類の鉱山と鉱物について、あらゆる王国と国々でそれらを発見するための平易な指示と規則。さらに、それらを溶融し、精錬し、試金する方法が平易に示される。この方法によれば、まったくふつうの能力の人物がわずかな費用で、規則によってあるいは偶然に発見した鉱石の価値を試すことができるのである。』(ロンドン、1639)
実はタイトルはもう少し長いのですが、それは省略しました。内容は、地中の宝(鉱物)をどうやって見つけだすのか、その発見法に関する簡単なマニュアルです。今の目からは、ちょっと不思議かもしれません。(そして、ご存じの方はよくご存じの、あのやり方です。)
→ウェブで検索をかけると、私のサイトがでてきました。そうでした、去年の7月30日にガブリエル・プラッツを収録している書物について、構成を記していました。
プラッツの鉱脈発見法&鉱山技術書は、もとは1639年に出版されたものですが、18世紀の次のコレクションに採録されたのでした。
『金属、鉱山、鉱物に関する稀少で貴重な論考のコレクション』(ロンドン、1738)
このコレクションの最初はバルバですが、編者の序には次のようにあります。
「疑いなき信用をもつ紳士が教えてくれたところでは、バルバの書物の出版はスペインでは異端審問所によって禁じられており、しかも英国ではほとんどお目にかかることのないものである。私の聞くところでは、スペイン語のバルバの書物は英国にはたった一冊しか存在しない。それはハンス・スローン卿の図書室にあるのだ。」
本当かしら、というふうに思いますが、スペイン語のバルバは稀書だったようです。たぶん、そういうわけだから、サンドイッチ伯が1669年に英訳を出版したのでしょう。
ちいさいちびが起きて、6時半。今日は、業務で、朝7時半に家をでます。1年で一番朝早く仕事に出る日ですから、ちょうどよかった。→雨。途中から雪に変わると言うことです。昔からセンター試験の日には、よく雪が降りました。[夜中に汗汗]
昨夜、今行っている作業に関して、去年だした論文の別刷りに貴重な情報を書き込んだことを思い出しました。さて、その貴重な別刷りですが、手元で探しても見あたりません。ないとなると気になるもので、紙を部屋中探し回りました。処理していないコピーがいっぱい見つかりました。なかにはとても珍しい、日本ではもしかしたら私のところにしかない資料もまじっています。必要があって、今日、ファイルからプリントアウトしようと考えていたものもありました。(その場できちんと処理しておかないと忘れてしまいます。)なかなか見つからなくてけっこう焦った(ほんとうに汗がでてしましました)のですが、1時間半してバインダーに綴じ込んでいるのを見つけました。ほっとしました。
図書館で、本を購入するのならば、それと同額の整理の費用をつけないとだめだ、と言われていることが私の場合にも当てはまりそうです。ただ、集めるだけ、コピーを取るだけではいざというときすぐには役立ちません。きちんと整理しておかないと。(これでも20世紀の間は、かなりしっかりコピーと書籍を整理していた方だと思います。大学の引っ越しに我が家の引っ越しが重なって、資料の所在がわからなくなったことがずさんになる大きなきっかけだったような気がします。→いずれにせよ、こういうことこそまったくの自己責任です。あとで困るのが自分です。)みぞれまじりの雨から、一時雪っぽくなって、結局冷たい雨が降っていました。業務は、なんと、6時半まで。きちんと読んでいなかったので、え、そんなにながく!でした。明日は4時半。帰り道、雨は雪に変わりつつありました。
さすがにちいさいちびがいちばんに起きて、7時。のこり全員をおこしました。ボルドー会議のための作業に本格的に着手しました。新しいボイル著作集の読み直しをしています。
この時代の文章を読んでいてけっこう面倒なのは、人物のスペルが一定しないことです。一例だけを示しましょう。16世紀末から17世紀はじめにかけて活躍した発明家&化学者にドレベルという人物がいます。標準的には今は、Cornelius Drebbel (1572-1633)と記します。しかし、ボイルは、Drebbel; Drebbell; Drebel, Drebble という4通りのスペルを使っています。頭からしっかり読んでいくときには問題はないのですが、検索をかけるときには注意しないと、大きな漏れを作ってしまう可能性があります。
なお、ドレベルはオランダ生まれですが、1605年頃、イギリスに渡り、すぐにジェームズ1世の寵愛を得ます。Bow Dye と呼ばれる染料と、一種の潜水艦の発明で有名となります。ずっと散髪に行っていなくて、授業のときに少し邪魔に感じます。明日からの仕事を考えて、2時前に散髪屋に行って来ました。ちいさいちびは、おとおさん、かみのけない、と言って喜んでいました。本日の外出はそれのみ。
[タルコフスキーとスヴヤギンツェフ]
直近ですが、本日午後4時半から、東京外国語大学研究講義棟101教室(はいってすぐ右側の一番大きな、一番設備の整った教室です)で、次のシンポジウムを開催します。
どこへ帰るのか? 有名なロシアの映画監督スヴヤギンツェフ本人が来ます。ロシア語通訳がついて、直接スヴヤギンツェフの顔を見て、声を聞くことができます。シンポジウムの参加は自由(無料)ですから、関心のある方は是非おいで下さい。
―タルコフスキーとスヴヤギンツェフにおける虚空への帰還―
沼野充義+西谷修+亀山郁夫
めったにないチャンスだと思われます。
→盛会だったようです。(2限に、2003年の賞をとった映画を見せたようですが、そっちは教室いっぱいだったということでした。)ちびどもは6時台。私はひとり遅れて7時半。→ちいさいちびは最近8時ぐらいまで寝ています。6時は早すぎます。私が6時頃に帰宅すると、ちいさいちびはもう寝ていました。私が夕ご飯を食べようとすると、2階から泣き声。小一時間階下にいて、再度、眠りにつきました。
おおきいちびがおしっこもれた(おしめからあふれた)といって、7時。
今日は、午後ずっと会議。1時開始(教務委員会へのオブザーバー出席、10分で済みました)、2時開始(土日の説明会)、2時半開始、と3つ続きます。→2時半開始の学部教授会は、4時45分終了。寒い中を最速で帰ってきました。
大学につくと、メールボックスにいくつもの荷物が。一つは、化学史学会の編集委員会に送られてきた、書評用の本です。
三輪宗弘
『太平洋戦争と石油―戦略物資の軍事と経済』
日本経済評論社、2004年1月、\5,670, ISBN: 4818815640
次回の編集委員会で書評者を決めて、その方にお送りします。
もう1点は、ハイデルベルグ大学のアマデオ氏に送ってもらったドイツ語圏のとても珍しい博士論文の出版。アマデオさん、ありがとうございました。明日は、2005年最初の授業。最初と言っても年があけてもうほぼ2週間ですから、もうすぐ終わり、つまり期末試験という感覚の方が強いかもしれません。学生諸君にはそっちがずっと気になるのではないでしょうか。
おおきいちびといっしょに7時20分。今日から幼稚園再開。おおきいちびには待ち遠しくてしかたがなかった幼稚園です。[日本と私 ii]
気になったので、『江藤淳コレクション』から、第4巻所収の「日本文学と「私」:危機と自己発見」を読みました。
最近あまり目にすることの少なくなった文章です。何だろう、と思ったのですが、非常に読みやすい英語の学術エッセイに近いと思うようになりました。私の少ない体験のなかでは、ロザリー・コリー女史の英文に近い感覚です。
この日本語はもっともっと読まれてよいものだと思います。
ひとり遅れて9時。昨日起きたときから軽い頭痛がありました。わずかな睡眠不足のしるしです。それを今朝とりもどしたことになります。[サレルノ養生訓 II]
昨日アマゾンに注文した、『サレルノ養生訓 』の翻訳が今朝届きました。
佐々木 巌
『サレルノ養生訓―地中海式ダイエットの法則 』
柴田書店、2001年9月
予想通り、翻訳と解説でした。本文を70話にわけ、1話を1頁におさめています。その1話(翻訳)に対して、数ページの解説をつけています。
翻訳の底本は、1607年に出版されたJ.ハリントン卿による英訳です。
11世紀のサレルノ医学校の校長を中心に編まれた衛生学の読本。ラテン語の詩で書かれる。「食(ダイエット)を中心に、入浴法や睡眠など、今日の言葉でいえば、生活習慣に関する注意事項を予防医学の見地から、一般大衆にもわかりやすく解説したもの」(2頁)というのが、佐々木氏による『サレルノ養生訓 』の基本的位置づけです。
第1話に、3つの習慣が基本だとあります。「ゆったりくつろぐこと、くよくよしないこと、よい食事をとること。」その通りでしょう。
英語ではどういう表現だろうと気になったので、見てみました。
Should you need physicians, these three doctors will suffice:
A joyful mind, rest and a moderate diet.
うまい! いつかこういう英語を書いてみたいものです。[日本と私]
2004年の最後の日に発注した本が、ちびどもが寝付いたあと、届きました。
(福田和也編)『江藤淳コレクション』(ちくま学芸文庫、全4巻、2001)
4巻セットで、6300円。
他にやっていたこともあったのですが、早速包みをあけて、第2巻に収録された「日本と私」を2時間ほどで読んでしまいました。本人は単行本とすることを拒んだとあります。この迫力は何でしょう。
(予想とは違いました。私自身の日本再適合を考える参考にはあまりなりません。適当な比喩ではないと思いますが、まるでギリシャ悲劇のように、運命に翻弄されている江藤家の姿が記されています。)
おおきいちびといっしょに7時前。[アルテフィウス伝説]
1月6日の、イアン・マキニス「陽気な少女とやる気いっぱいの少年」でふれられていた、フランシス・ベイコンの引用するアルテフィウスですが、大橋さんの指摘により、手元の資料で確認してみました。
(イアン・マキニスによれば)フランシス・ベイコンは、『長寿のための生と死の自然誌』の英訳(1638)の174頁で、自分が死にそうになったら若者の精気を吸い取って(若者は死に至らしめ)自分はその精気のおかげで長生きしたアルテフィウスの話を取り上げています。
下に記した通り、フランシス・ベイコン全集に収められた英訳『長寿のための生と死の自然誌』は手元にあったので、該当個所を捜しました。第4巻266頁でした。その英文は次の通りです。
"that Artephius, when he felt his spirit falling, drew into himself
the spirit of a strong young man, thereby killing him, but
continuing his own life for many years by means of that other
man's spirit; "
イアンの引く英語とは幾分か違いますが、同一のラテン語からの翻訳です。
こうなるとラテン語の方も気になります。ガリカにベイコン全集があることを思い出して(実は、相当割合をダウンロードしているのですが、どこにストックしているのかわかりません)、1頁1頁ダウンロードして、探してみました。少し時間がかかりましたが、第2巻158頁に当該箇所がありました。
いろんな版は探してみるものです。そこには、英訳版にはついていない編者の注がついていました。まず、アルテフィウスの直前の話は、次の通りです。
「ある人が地中に埋められている軟膏を見つけ、足裏を除く全身に塗ったところ、何の病気もなくその後300年生きた。ただし、足裏だけは、(腐敗して)脹れ上がった。」
この話に対して、編者は、「これはロジャー・ベイコンによる。錬金術書集成では、"De Secretis operibus artis et naturae"というタイトルで収録された著作に含まれる。(たとえば、『化学の劇場』第5巻791頁。)」という注を付しています。
アルテフィウスの話にも、注を付けています。「フランシス・ベイコンがどこからこの話をひっぱってきたのか私にはわからない。ロジャー・ベイコンにはアルテフィウスに関する多くの言及がある。錬金術書集成に収録されたアルテフィウスの Clavis Majoris Sapientiaeは、近代のカバリストの作品である。」
(『叡智の大いなる鍵』の成立については、大橋さんのページの12月20日をご覧下さい。)
ロジャー・ベイコンの『大著作』は翻訳されています(『科学の名著3 ロジャー・ベイコン』朝日出版、1980)から、調べてみました。残念ながら、索引はアルテフィウスを拾っていませんが、訳書をぱらぱら繰っていると当該箇所はすぐに見つかりました。
第6部「経験学について」の後ろの方です。長寿のための医学と錬金術を扱っている箇所です。アルテフィウスの名前が挙げられるのは、400頁下、401頁下、405頁上、406頁上、です。
フランシス・ベイコン全集の編集者が、ロジャー・ベイコンによるとした軟膏により300年生きた人の話は、402頁にでてきます。
フランシス・ベイコンは、アルテフィウスの話を引くすぐ前のページで、長寿薬として、金、真珠、等々をあげています。実は、ロジャー・ベイコンは402頁から403頁で、金、真珠、アントス、等々をあげています。
つまり、ここからわかることは、こうです。フランシス・ベイコンが『長寿のための生と死の自然誌』を執筆したとき、手元において参照した重要な書物のひとつがロジャー・ベイコンであった、ということです。
(長寿法については、『大著作』だけではなく、錬金術書集成に収録された『技術と自然の秘密の働きについて』でも取り上げられているということですから、フランシス・ベイコンがどちらを使ったのか、あるいは両方を手元においていたのかはわかりません。)
さて、13世紀の人ロジャー・ベイコンと17世紀のフランシス・ベイコンの長寿論を比較してみましょう。時代の差をまったく感じないと言ってよいでしょう。(フランシス・ベイコンが精気の働きで、長命と短命を統一的に説明しようとしたという差はありますが、ふつうの現代人にはどちらも似たようなものとしか思えないでしょう。)そう言えば、ここ何日かほとんど外出していません。少し運動した方がよいだろうと考えて(養生訓にはそういう教えが必ずでてきます)、ちびどもがよく遊んでいる間に、駅まで行って本屋さんによって帰ってきました。20分程度の散歩。
『アエラ』『サイゾー』『中央公論』『論座』を買って帰ってきました。
おおきいちびといっしょに7時半。夜中ぐずっていたちいさいちびは、朝方はよく寝ています。イタリアの大橋さんから、1月6日に記した、イアン・マキニス「陽気な少女とやる気いっぱいの少年:シェークスピアのソネットにおける老いた身体と若い身体」について貴重なコメントを頂きました。試訳を何点か修正しました。ありがとうございます。
修正点のひとつは、History of Life and Death or Of the Prolongation of Life のなかの "or" を 私が "and" に読み違えて、2著のように訳したことです。
このフランシス・ベイコンの著作は、もともとはラテン語で1623年に Historia vitae & mortis として出版されたものです。それが、1638年に英訳で出版されます。その英訳には版型が異なり、タイトルがわずかに違う2種類があります。
Version A: History of Life and death, with observations naturall and experimentall for prolonging of life. London, 1638
Version B: History naturall and experimentall, of life and death :Or of the prolongation of life. London, 1638
Version Aは、本文323頁、全体で338頁の書物です。
Version Bは、本文395頁、全体で435頁の書物です。
イアン・マキニスは、373頁を引用していますから、使っているのは、Version Bの方です。なお、Version A の方には何種類かリプリントがあります。
フランシス・ベイコンを勉強したときに、この『生と死の(自然)誌』がどういう著作かかなり気になったのですが、入手して読んでみることをしていません。今回、少しだけ調べてみると、フランシス・ベイコンの医学-化学を知る上でとても面白い著作であることがわかりました。今の言葉で言えば、加齢現象の生理学を扱っています。(人間身体のなかの体液や精気の化学と言ってよいでしょう。)
→ベイコンは、少しコピーを取っていたのを思い出し、本棚から探し出しました。『生と死の(自然)誌』も全集からラテン語は全部、英訳はおそらく8割方コピーを取っていました。ラテン語の方はどこに行ったのか本日の探索では見つからなかったのですが、英語の方はすぐに見つかりました。読んでみると、なるほど『長寿のための生と死の誌』です。「人間の生命の長さと短さ」という章では、アブラハムは175年生きた、モーゼは120年生きた、ヨブは140年生きた、というふうな話(History) が続きます。
こういう話(非生命体、植物、動物、人間の寿命)のあとに、理論的考察が続きます。基本は精気の働きで説明されています。
「その1.精気は、身体のあらゆる効果を生み出す作用者であり、働き手である。このことは一般的な同意ならびに無数の事例によって明かであろう。」
「その2.もし若者の精気が老人の身体に導き入れることが可能だとすれば、この大いなる輪が小さな輪を運動させ、自然の経路を逆転させることもありえるかもしれない。」
そして、長生きのためには、この精気を身体のなかで凝縮させることだとあります。
過度の喜びは、精気を分散させるので、人生を短くする。
恐怖のない、悲しみは、むしろ人生を長くする。(精気が身体の中心に集まる)
希望は、あらやる感情のなかで最も人生を長くすることに貢献する。
こういうふうに、精気の活動に照らし合わせて、命を縮めるものと伸ばすものがリストアップされていきます。
なるほど、これは『養生訓』です。[18世紀のアルテフィウス]
話は上からも下からも続いています。
ネットで検索をかけていると、ウィリアム・サーモン(William Salmon, 1644-1713 )という人の『開業医:人体に生じるもっともふつうの病気を直す真の方法を示す』(ロンドン、1707年;初版、1692年)という本に出会いました。この本にサーモンは次の補遺をつけています。
ヘルメス・トリスメギストス、カリード、ゲーベル、アルテフィウス、ロジャー・ベイコンの化学的著作、ならびにニコラス・フラメルのヒエログリフィクス、ジョージ・リプリーの錬金術精華。
アルテフィウスに関しては、『秘密の書』をラテン語と英訳の対照版で採録しています。
→ウィリアム・サーモンについては、我々はおなじみです、と書くとレトリカルに過ぎるでしょうか。サーモンは、ボイルの『色についての実験誌』(1664)から適当に借用して、Do-It-Yourself 的な実用書(Polygrahice, 1672) を出版しています。これはかなり人気を博したようです。
サーモンは、 Synopsis medicinae : or, A compendium of astrological, Galenical, & chymical physick : philosophically deduced from the principles of Hermes and Hippocrates : in three book,1671 を筆頭に、教科書的な実用書を多く著した人物です。残っている数からすると、人気のある著作家だったようです。
おおきいちびといっしょに7時半。晴れていて、寒さはそれほどでもありません。暖かい日になるということで、朝からちびどもは外出。吉祥寺のいわば子どもの城のような場所へ。帰ってきたのは、おやつの時間。ちびどもはよく遊んだようです。
その間、割と集中的に作業を進めることができました。ただの資料ですが、プリントアウトして A4 10枚以上を入力することができました。[サレルノ養生訓]
サレルノ養生訓について、ウェブで調べてみました。現在でも読みつがれると何かにあったのですが、実際、日本語訳が2001年に出版されていて、驚きました。
佐々木 巌
『サレルノ養生訓―地中海式ダイエットの法則 』
柴田書店、2001年9月
「ヨーロッパに中世から伝わる健康食生活のバイブルを訳解」とありますから、翻訳と解説でしょう。
もうひとつ驚いたのは、私の大学の同僚の川口裕司氏が論文を書かれているということです。
川口裕司「中世フランスにおける保健医学―アルドブランダンの『身体養生論』とトマの『保健論』の比較対照」『人間総合科学』第2号(2001)、pp.22-44
また英訳はウェブにありました。
A Salernitan Regimen of Health
さらに驚いたのは、日榮さんのページ(2002.7.25)にも言及がありました。
そして、忘れていましたが、ラテン語のバージョンはダウンロードしてもっていました。見覚えがあったわけです。
ひとりで7時。今朝は曇りで寒い。→おやつの時間のあたりから、雨降り。寒さが厳しくなった気がします。昼間に次の本がアマゾンのメール便で届きました。
Andrew Janiak ed.,
Newton: Philosophical Writings
Cambridge: Cambridge University Press, 2004, ¥2,592
1.ボイルとの通信(1679)
2.「重さについて」(1685年前)
3.『プリンキピア』(初版)
4.ベントリーとの通信(1692―3)
5.ライプニッツとの通信(1693、1712)
6.コーツとの通信(1713)
7.Commercium Epistolicum (1715) の説明
8.『光学』(1721)の「疑問」
ほんとうはもう少し網羅的なものを期待したのですが、本文140頁の薄いものでした。一般的な教育用途のようです。
[ニャンコの仕業]
昼間、ちびどもを連れて、イトーヨーカドーに行ってきました。ちびどもがなかで遊んでいる間に、私は大学まで西武線を往復して、郵便をとってきました。
合流したあと、昼食をとり、はやめに帰宅。帰ってみると、居間だけレベル1で付けていた床暖房が消えています。他の部屋の床暖房もスイッチを押してもつきません。
3つともスイッチがつかないのは、電源のせいだろうと考えて、屋外の床暖房用のガス燃焼器を見に行きました。予想通り、コードが抜けていました。
人の通る場所ではないので、どうしてコードが抜けたのか不審だったのですが、床暖房をつけるようになってから、いつも猫がガス燃焼器の上で体を丸くして休んでいるのを思い出しました。夜中、けっこう大きな音を出して、飛び乗ったり飛び降りたりする音が聞こえます。屋外燃焼器は、ちょっと高さがあります。少し考えて、猫は、コードを足場にして屋外燃焼器の上部に登っているのであろうという結論に達しました。ジャンプ&クライムを繰り返している間に、ついにコードが抜けてしまったのでしょう。
というわけで、犯人は、猫でした。[西ヶ原キャンパス解体中]
2000年夏の大学移転以来、まったく足を運んでいない東京外国語大学の旧キャンパス、西ヶ原ですが、とうとう取り壊し工事がはじまったという情報が入りました。大学の近所に住んでいる卒業生が年賀状で教えてくれたものです。取り壊し工事にそれほど時間はかからないでしょうから、春には、西ヶ原キャンパスはすっかり更地になっているのではないでしょうか。[学術グーグル]
存在は知っていたのですが、これまで試していなかった学術グーグルを試してみました。有用でした。
一例だけ示しましょう。例は、「ヘルモゲネスを探して」に敬意を払って、「アルテフィウス」です。アルテフィウスで検索をかけると3点でてきます。その3点目が面白い論文です。
イアン・マキニスという方の「陽気な少女とやる気いっぱいの少年:シェークスピアのソネットにおける老いた身体と若い身体」EMLS(2000) です。
タイトルだけを見ても、興味深そうな論文です。注の2を訳してみましょう。
長寿の歴史に関するジェラルド・グルマンの有用な論文は、16世紀はじめにおける長寿への関心の高まりを記録している。一方において、永遠の生命という伝説的・神話的な伝統が新世界への探検旅行に位置を得た。最も有名な例は、ポンス・デ・レオンである。彼は、若さの泉を見つけだそうと航海にでて、フロリダを発見した。レオンの関心は決して孤立したものではなかった。ピーター・マルティール・ダンゲーラは若さの泉の存在を保証していたし、教皇その人が少なくとも半ばそれを信じていた。若さの泉は、16世紀の初めと半ばに芸術の人気あるテーマとなっていた。他方において、長寿の医学的説明が16世紀と17世紀はじめにおいて稀にみる人気を博した。一部は健康法の伝統であり、食事療法と自制が長寿への最良の道だと見なした。後期中世の『サレルノ養生訓』が多くの言語で何度もリプリントされた。・・・錬金術も、賢者の石の悪名高い約束のひとつが永遠の生であったために、老化の議論に一役買った。長寿についての著作ゆえに、中世の錬金術師ロジャー・ベイコンが17世紀まで人気を保った。彼の『老齢の治癒と若さの保持』の全訳は、1683年にはじめて出版された。・・・錬金術師と医師の著作の多くは、フランシス・ベイコンのような総合的なアプローチをとるもののなかに組み込まれた。ベイコンの『生と死の誌、または長寿について』(1638)は老化する身体に対する医学的態度、と、若さの本性に基づく神秘的な治癒の可能性の両方を証している。
あまり厳密な訳ではありません。ラフな試訳だと思って下さい。
アルテフィウスは、そのフランシス・ベイコンの箇所で出現します。「ベイコンは、12世紀の錬金術師アルテフィウスの伝説を問責した。“アルテフィウスは、スピリットが抜け出しそうなときには、若者のスピリットを自分の身体に導き入れたのである。もちろん、若者の息は途絶えた。しかしアルテフィウスは他者のスピリットにより長生きした。”しかし、ベイコンは後にこの伝説の背後にある原理を認めている。」
これは、確かに、魅力的なテーマです。
かぞくそろって8時前。一転して遅くなりました。昨日から少し寒さがゆるんでいます。起きて廊下にでても、刺すような寒さは感じません。→と思ったら、2〜3度のときほどではありませんが、寒くなりました。[フィラレーテスiii]
本棚を整理していたら、エウゲニウス・フィラレーテス=トーマス・ヴォーンのリプリントが2点出てきました。The Alchemical Press が Alchemical Treatise Series として小冊子で出版したシリーズです。
Anthroposophia Theomagica:,
Aula Lucis: or The House of Light,
この2点です。グーグルとウェブキャットで検索をかけた感じでは、トーマス・ヴォーンを研究した日本人は、どうもいないようです。17世紀という時代においてはそれほどマイナーな人物ではないと思うのですが、まあ日本の知の境界線の向こうにあるのかもしれません。
イタリアの大橋氏に貴重な情報を教えてもらいました。ユングの『心理学と錬金術』巻末の人名索引では、ファン・ヘルモントに同定されています。唖然!デ・ロラ『錬金術・精神変容の秘術』では、エイレナイウス・フィラレーテスのリプリー注解の真の著者が「トマス・ド・ヴォーン」やら「チャイルド」とも呼ばれているのだそうです。
トマス・ヴォーンとの混同は、17世紀末のエイレナエウス・フィラレーテスの作品集の編者に始まりますから、いわば由緒正しい誤解です。チャイルドは、ハートリッブ・サークルに所属したキミストで、スターキーをボイルに紹介した人物です。ニューマン以前にエイレナエウス・フィラレーテスを追っていたウィルキンソンは、スターキーのアメリカ時代の師匠格ジョン・ウインスロップ・ジュニア説を一時期唱えていました。彼は、決定的ではないが、スターキー説も唱えています。
きちんと調べていけば、エイレナエウス・フィラレーテスの実名に関しては、もっとさまざまな珍説が提出されていそうです。
ひとりで4時。当然ながら、まっくら。仕事がはじまったときのことを考えていたら早く目覚めてしましました。ちょうどよいので、ちびどもに邪魔をされずに仕事を進めます。[フィラレーテスii]
昨日、フィラレーテスの名を称するものは少なくない、と記しましたが、実例をほんのすこし。
まず、もっとも間違いやすいのは、詩人として有名なヘンリー・ヴォーンの双子の兄弟トーマス・ヴォーン (Thomas Vaughan,1621 - 1666) が "Eugenius Philalethes"の筆名で、錬金術書を著していることです。
Anthroposophia Theomagica: or a Discourse of the Nature of Man and his State after Death, 1650
Anima Mag ica Abscondita: or a Discourse of the universall Spirit of Nature<, 1650BR> Magia Adamica: or the Antiquitie of Magic, 1650
Lumen de Lumine: or a New Magical Light, 1651
Aula Lucis: or The House of Light, 1652
Euphrates: or the Waters of the East, 1655
ヴォーンとスターキーは年齢も近い(7歳差)ですし、活躍した時期も近い(1650年代)し、そもそもともに錬金術書を出版しています。
(実際に、古い時代には両人を混同している人もいた由。)時代が重なるところでは、ピエール・ドゥ・ムーランの息子で、ピーター・ドゥ・ムーランの兄弟、ルイ・ドゥ・ムーラン(Lewis du Moulin,1606-1680)が "Irinaeum Philalethen Eleutherium" の変名で著作をものにしています。ルイは、パリ生まれですが、ライデンで医学博士号をとったあと、イギリスで開業しています。「火の舌で燃えるように」アングリカンを攻撃したようです。
少し時代が下っては、Robert Samberという人が、トーマス・ヴォーンと同じ筆名"Eugenius Philalethes"で、『長寿の人々:幾世代を生きて若返った不思議な男女の奇妙な歴史。アーノルド・ヴィラ・ノヴァの若返りの秘密、ならびに数多くの価値ある長寿方、さらには普遍薬の調合法を付す。』(London, 1722)という本を出版しています。
他に、Ludwig Doninが"AntonPhilalethes"の変名を、J.B.Wenigが"Theophilus Philalethes" の変名を、Carl August von Reisachが"Athanasius Sincerus Philalethes" の変名を使っています。
他にもありますが、そこまではあげなくてもよいでしょう。こうした事実から分かることは、フィラレーテスという筆名がわりと広範囲で愛されたということです。[マックの救出]
妹夫妻が、善福寺に住んでいます。昨夜妹の旦那から、マックの救急依頼がありました。ちょうどよいので、朝の10時過ぎに全員で救出に向かいました。まず、甥っ子たちにお年玉を渡し、マックの様子を見ました。半ば予想していたとおり、ケーブルが繋がっていませんでした。故障でもなんでもなく、電源コードがマック本体に繋がっていませんでした。(デスクトップタイプを2台重ねていて、その上の方を使うはずでしたが、電源ケーブルは下の方に繋がっていました。誰の仕業か妹夫妻宅では議論になりましたが、まあ、永遠の謎でしょう。)
妹夫妻宅の近所に、新しいサミットとコジマができていました。歩いて3分と言ったところでしょうか。ちょうどよいので、一度見学して帰ることにしました。サミットに入ってすぐに、ちびどもがおなかが空いたというので、パン屋さんのちかくに設けられたテーブルで昼食をとることにしました。まず、私が隣のパン屋さんでパンを買い、ついで妻がスーパーのなかからおにぎりと焼き鳥を買ってきました。
昼食の間、妹の旦那は2階のコジマでプリンターのトナー探し。甥っ子たちは、お使いに来て、2分で帰っていきました。
ちびどもは遊び足りないようだったので、隣の八幡神社に初詣をして(実はまだ屋台が残っていたので、綿菓子を買って)帰ってきました。
私もわずかの間、コジマの店内を見てきましたが、まあ、こんなところでしょうか。(ノートパソコンでは、パナソニックもデルももちろんアップルも置いていませんでした。)とくに魅力ある店舗ではありませんでしたが、プリンターのトナー等は一通り揃っているので、そうした店舗としては使えます。(妹の旦那によれば、店員に商品知識はほとんどないということでした。)F君に、外大総合文化研究所サイトのリニューアルをしてもらいました。きれいなサイトに仕上がっています。
私のサイトもほんのちょっとずつリニューアルをしています。あまり気付かれない程度に。
かぞくそろって、7時40分。学期中と比べると、ゆっくりめ。本日も快晴。[スターキー=エイレナエウス・フィラレーテスの出版物]
大橋氏の錬金術書漫談blogに刺激されて、以前からきちんと情報を整理しようと思っていたフィラレーテスの書誌をまとめていきます。
フィラレーテスの名前を称するものは少なくないのですが、ここでは、エイレナエウス・フィラレーテス(ジョージ・スターキーのヘルメス的筆名)のみを取り上げます。
まず、ジョージ・スターキーの綴りと生没年:George Starkey (1628-1665)
彼が、Eirenaeus Philalethes の筆名で草稿を回覧しはじめるのが1652年。
本名での出版物は、次の3点。
Natures Explication and Helmont's Vindication, London,1657
Pyrotechny Asserted and Illustrated, London, 1658
Liquor Alchahest, London,1675
ついで、Eirenaeus Philalethes名での出版物は次の通り。
The Marrow of Alchemy, London,1654
"Sir George Riply's Epistle to King Edward unfolded",
in Chymical, Medicinal, and Chyrurgical Address made to Samuel Hartlib(London,1655)
Iatroitus Apertus ad Occulsum Regis Patatium, Amsterdam, 1667
Mercurius de Mercurio.... Anonymi Philalethae Phiposophi Opera Omnia, Mutinae, 1695
Secrets Reveal'd: Or an Open Entrance to the Shut-Palace to the King. London, 1669
Ripley Reviv'd: Or, An Exposition Upon Sir George Ripley's Hermetico-Poetical Works, London,1678フィラレーテス名の書物は、有名な錬金術書集成に採用されます。その最初が、下の1678年に大幅に増補されて出版された『ヘルメス博物館』です。増補された12点のうち、センディヴォギウスが4点、フィラレーテスが4点でした。つまり単純に点数で増補された3分の1がフィラレーテスです。収録されたのは、『王の閉宮への開いた入口』;『金属の変成』;『天のルビーへの短い手引き』;『キミアの泉』です。
ついで、Bibliotheca chemica curiosa (ed.,Jean-Jacques Manget, Geneve,1702)の第2巻に、上と同じ4点が採録されます。
また、Bibliotheque des philosophes chimiques (ed., Jean Maugin de Richenbourg, Paris, 1740-54) の第4巻に5点が採録されます。リプリントは、まず、アメリカの「錬金術出版社(The Alchemical Press)」により、小冊子の形で何冊かだされます。(『賢者の水銀の調合』『アルカヘストと呼ばれる不滅の液体の秘密』;『王の閉宮への開口』;『ふつう硫酸Oil of Sulphur Per Campanam と呼ばれるものの驚異の効能について』)。次に、やはりアメリカのケシンジャー出版社により出版されたCollectanea Chemica (1991)に、2点が採録されます。(「アルカヘストと呼ばれる不滅の液体の秘密」;「ソフィク・マーキュリーの調合」)
ついで、フィラレーテスのほぼ英語版著作集とも呼べるものが1994年に出版されます。(スターキー名での出版物は含まない。)
S. Merrow Broddle (ed.),
Alchemical Works: Eirenaeus Philalethes Compiled
Boulder: CINNABAR, 1994
(これは、平井さんに存在を教えてもらったものです。アマゾンのマーケットプレイスで注文してから1年半以上かかってやっと入手できました。)なお、スターキー名での出版物は、 EEBO (Early English Books Online)ですべて入手できます。
また、Musaeum Hermeticum reformatum et amplificatumもBibliotheca chemica curiosa もともに、マドリッド大学デジタルライブラリーにアップされていますから、こうした錬金術書集成に収録された作品もゲットできます。
以上、単純に注目度から言っても、スターキー=フィラレーテスは、17世紀後半の最重要な錬金術師=化学者のひとりと言えます。
おおきいちびといっしょに8時。雨戸を閉め切ると、よく寝るようです。朝が来たことは鳥の鳴き声だけが教えてくれます。本日も快晴。[錬金術書漫談blog]
昨日のアルテフィオに関して、イタリア在住の大橋氏より、氏の作成している錬金術書漫談blogを教えていただきました。大変、興味深いサイトです。私は下から上へ、すなわち時間順に一気に全部読んでしまいました。
「ヘルモゲネスを探して」というタイトルを付けられていますが、現在のところ、探究の焦点は、(一説にアラビア人説もある)1025年生きたといわれる伝説的錬金術師アルテフィオにあわされています。[千のキミア、再開ii]
昨夜は、Azogue(スペイン語の錬金術史のページ)のサイトにあがっているリストから、私のまだ持っていないものをダウンロードすることとしました。
[M] の項にたどりつくと、なんと、『ヘルメス博物館』がアップされています。もちろん、こうした仕事はたいていマドリッド大学デジタルライブラリーです。
Musaeum Hermeticum reformatum et amplificatum
Frankfurt am Main, 1678
これには、19世紀に出されたウェイトの英訳があります。入手しやすいリプリントがあります。
Arthur Edward Waite
The Hermetic Museum, containing Twenty-Two Most Celebrated Chemical Tracts, Complete in One Volume
York Beach: Weiser, 1990 (Originally published in 1893)
もとのラテン語版は、858ショットの浩瀚な書物ですが、昨夜から今朝にかけて全部ダウンロードしました。目次は次の通りです。
1. Tractatus aureus de Lapide Philosophico.
2. Henricus Madathanus, Aureum Seculum Redivivum.
3. Hydrolithus Sophicus, seu Aquarium sapientum.
4. [pseudo-]Joannes de Mehung, Demonstratio Naturae.
5. Nicolas Flamel, Summarium Philosophicum.
6. Via Veritatis Unicae.
7. Gloria Mundi, seu Tabula Paradisi.
8. Tractatus de Generatione Metallorum.
9. Liber, cuius nomen Alze.
10. Lambspring, de lapide Philosophorum Figurae et Emblemata.
11. Michael Maier (ed), Tripus Aureus, hoc est tres tractatus chimici selectissimi
11-1. Basilius Valentinus, Practica una cum XII Clavibus et Appendice.
11-2. Thomas Norton, Crede mihi seu Ordinale.
11-3. Cremer, Testamentum
12. Michael Sendivogius, Novum Lumen Chemicum e Naturae Fonte & manuali Experientia depromptum.
13. Michael Sendivogius, Aenigma Philosophicum.
14. Michael Sendivogius, Dialogus Mercurii, Alchymistae et Naturae.
15. Michael Sendivogius, Novi Luminis Tractatus alter de Sulphure.
16. Philaletha, Introitus Apertus ad occlusum Regis Palatium.
17. Michael Maier, Subtilis Allegoria super Secreta Chymiae.
18. Philaletha, Metallorum Metamorphosis.
19. Philaletha, Brevis Manuductio ad Rubinum Coelestem.
20. Philaletha, Fons Chymicae Vertitatis.
21. Joannes Fridericus Helvetius, Vitulus Aureus quem Mundus adorat et orat.
22. Janitor Pansophus, seu Figura Aenea quadripartita cunctis Museum hoc introeuntibus, superiorum ac inferiorum scientiam Mosaico-Hermeticam, analytice exhibens
なお、昨日は、結局20点をダウンロードしました。詳細は、科学史の部屋をご覧下さい。年末(12月26日)にアメリカのアマゾンに注文した次の本が夕食後届きました。
John T. Stock
Ostwald's American Students: Apparatus, Techniques adn Careers
Concord: Plaidswede Pub.,2003
在庫のあるものに関しては、アマゾンは速い。
あけましておめでとうございます。
快晴。おおきいちびといっしょに7時半。ちびは、7時には目覚めていたようです。[千のキミア、再開]
昨夜、久しぶりに「千のキミア」を再開しました。昨夜は次の1点のみガリカからダウンロードしました。
Artefio et al.
Philosophie naturelle de trois anciens philosophes renommez Artephius, Flamel et Synesius
Paris, 1682
私の環境でも、常時、100K以上の速度がでていました。このぐらいの速度があれば、たいていのものはダウンロードOKです。[田舎ネタ]
お正月ですから、田舎ネタを少し。私が乳幼児時代過ごした村で、アライグマが罠にかかったという記事です。12月30日付け。
龍神村でアライグマつかまる
少しずつ、このサイトを2005年バージョンにアップデートしています。私のように毎日、あるいはほぼ毎日更新しているサイトには、What's New は不要だと気付いて(ずっと前から気づいているのですが)、お蔵入りさせました。→もう用がすんだと考えて、新キャンパス情報もお蔵入りです。