おおきいちびといっしょに5時55分。台風は、午前2時半に最接近。にわかに風雨が強まりましたが、割とすぐにおさまったようです。朝目覚めたときには離れていました。おお、9月も最後の日となりました。明日から10月。やっと大学の冬学期がはじまります。学生諸君もそろそろ学校にでないと不安なんではないでしょうか。
ということで、そろそろ授業の準備をはじめないといけません。[マウスの復活]
以前、ちいさいちびがこわした、iMacについていた光学式マウスですが、またまたちいさいちびが取り出して、遊んでいます。今度は、iBook のUSBポートに差し込みたいようです。こわされるよりましなので、差し込み方を教えてやりました。すると、壊れたはずのマウスが復活していました。うーん。
要するにほんとうには壊れていなかったということです。ちいさいちびの扱いがほんとうに乱暴なので、精密機械はこわいのですが、ある程度はあきらめています。[46歳]
45歳最後の日。つまり、明日46歳を迎えます。大学では、定年延長の問題が論じられています。象徴的なのは、東大が数年前に、60歳の停年を段階的に(13年と聞いた気がしますが、正確かどうかわかりません)65歳に延長すると決めたことです。大きい事情としては、年金の支給が65歳までなくなる、ということがあります。法律名は覚えていませんが、それを受けて、事業主に65歳までの雇用を確保するようにという法律(あるいは法令)が成立しています。
50歳半ば以降の同僚の方々は差し迫った問題として、論じられています。住宅ローンをたとえば70歳まで組んでしまったという方には、ほんとうに切迫した問題だということはよくわかります。
この春から、全ての国立大学(たぶん89)は、国立大学法人という名前の、独立法人となっています。そのことに不安や失望をいだいた教官・教員(2004年3月末までお役所用語としては教官)の間では、若手も、中堅層も、停年間近の層も、私立大学に逃げる(移籍する)動きが目立っています。我が大学でも、えーあの人が、という人までもが私立大学に移っています。
また、やはり今年から動いている法科大学院の設置にあたっては、地方の国立大学の法学関係の教官・教員は、草刈り場となったという話を聞いています。
私は、停年がまだ目前ではないという理由でリアルな切迫感を感じることはできていません。同世代の同僚にも話を聞きましたが、大半は、だいたい、似たような感じでした。しかし、人生60年という言い方が頭のなかに居座っている世代としては、60歳まで後14年か、という発見は、人生の半ばをとうに過ぎた自覚はあっても、考えさせるものがありました。発見といっても、もちろん、ただの初等数学です。
私が60歳になったとき、おおきいちびは大学生、ちいさいちびは17歳です。そう、そのことを考えれば、65歳ぐらいまでは何にせよ頑張らないといけない。
さて、60歳になったときに、自分のその後の人生を、どう見通しているでしょうか?今回想像してみようと思ったのは、このことですが、具体的なことがあまりでてきません。大学で割と親しくしてもらっている教授の方々のなかには、60歳前後の人が少なからずいます。何かの折りに、話を聞いてみようかと思っています。
なお、私の両親は健在で、(日本の呼称方式に従い、ちびたちの観点から)おじいちゃんは71歳、おばあちゃんは68歳です。あばあちゃんはおじいちゃんに、うちのちびどもがお嫁に行くまで生きていろ、と言っています。
ものをおもうこのごろでした。ほぼ予想通り、100枚に達しました。→106枚。
ひとりで5時50分。曇り。また台風。朝一番の郵便で、大きな小包がイタリアのミラノより届きました。
JEAN JACQUES MANGET(ed.),
BIBLIOTHECA CHEMICA CURIOSA, seu rerum ad alchemiam pertinentium thesaurus instructissimus,
2 vols., Geneve, 1702; (Reprint 1976)
18世紀初頭にでたキミア集成です。7月29日にイタリアの古書店に注文したところ、8月末にメールで返事があり、9月末に郵便で届きました。カードでの決済は、すんでいるので、もうしばらく待って届かなければ問い合わせしようと思っていた矢先でした。届くかどうかは、半々でした。ウェブで注文してから、1ヶ月もかかって通知が来たのは、夏休みをとっていたのであろうと勝手に解釈しています。ともあれ、無事についてほっとしました。
17世紀初頭のキミア集成、Theatrum Chemicum はマイクロで持っていますから、近代の大きなキミア集成は手元にそろったことになります。
なお、版型は、フォリオ。卷1は、938頁(+図版)、卷2は、904頁。値段は、本体390ユーロ、郵便100ユーロ、あわせて490ユーロ、日本円換算で66000円。少し高いように感じるかもしれませんが、その価値はあると思います。
この本の目次は、levity にあります。163の著作・論考が収められています。
Table of Contents of BIBLIOTHECA CHEMICA CURIOSA
午後、大学院のコース委員会他。→最初の会議は、12時半〜12時55分で終了。次の会議は、1時〜3時で終了。予定通り終了しました。そのまま帰宅すると、月曜日に注文したピクチャーカードがアマゾンより届いていました。ということで、夕食後、新しいピクチャーカードに換えて、動画も試してみました。画面が小さくなりますが、面白い。当分遊べそうです。
今朝届いた本の1頁も新しいデジカメで撮影してみました。明らかに撮影技術がへたくそですが、読める品質になっています。いろんな使途がありえます。
夜半に目覚めました。仕事を少しですが、進めています。
大きいちびといっしょに、6時半。
今月は、ここまで98枚。9月は100枚強といったところでしょう。『磁力と重力の発見 1.古代・中世』をゆっくりと読んでいます。とても勉強になります。→午前11時に読了しました。「2.ルネサンス」→「3.近代のはじまり」→「1.古代・中世」という順序で読み通したことになります。感動的でした。
科学史の専門研究者として私は常日頃、時期を見て、ダンネマン全巻を通読しなければ、と思っていました。専門研究者となってしまうと、どうしても、特定の時代、特定の分野、特定の人物に集中します。それは、専門研究者として必要なことですが、一定の間隔で通史的なものを読むのは、鉱夫が穴からでて、山の中腹にたつような気分を味あわせてくれます。リフレッシュした感覚を味わうことができます。
そういうさわやかな印象がこの本に二つの賞(大佛次郎賞+)をもたらした一因でしょう。
内容的に言えば、山本氏は、物理学の概念を扱っているときにほんとうに冴えています。[千のキミア]
本日、「千のキミア」プロジェクトは途半ば、すなわち5百に達しました。今後は、ひとつの焦点はキミアのまま、もうひとつの焦点を科学史の古典にあわせて、ぼちぼち進めていこうと思っています。
今日の作業は、フランシス・ベイコン、ロジャー・ベイコン、アグリッパ。
ほぼ全員そろって、6時。止んでいた雨が、起きてすぐに降り始めました。梅雨のような1週間となるようです。&寒い。いつも行っている本屋さんが風邪をひいたと言っていました。こういうふうに気温の変化が激しいと風邪もひきやすくなるでしょう。今日も、歯医者。いつもは自転車で行っていますが、今日は歩いていかないといけないようです。おそらく20分。→歯の全体的掃除とちいさく欠けた前歯の装填で、今回の歯の治療は終了。今日の麻酔はいつもより長く残るということです。
予想通り、土曜日の夜に注文したデジカメがアマゾンより届きました。
FUJIFILM FinePix F410 という機種で、\22,800.
充電方式なので、まずは、充電。ちいさいちびに見つからないようにしないといけません。→附属の16MのxDピクチャーカードだと、標準で32枚しかとれません。どの程度のものを買えばよいかとウェブを調べてみました。128Mあたりが適正なように思います。値段は、4370円が最安値です。ただし、送料を含めると、やはりアマゾンの4880円が最安値となります。→家電量販店にも、秋葉原にとっても思わぬ強敵の出現と言えます。もちろん、我々には歓迎すべき事態です。→32枚では足りないので、128Mを発注しました。今月中には届くでしょう。
おおきいちびといっしょに6時半。少し体調が回復してきたようです。朝から雨。『磁力と重力の発見』で残っていた、1.古代・中世を読み始めました。序文が感動的によくできています。
ひとり遅れて、7時半。どうもちいさいちびは、5時半に目覚めたようです。ちびどもが外出先から、AU の拡販おまけ、トリックスティックというものをもらってきました。10センチ程度のプラスティックの棒についたチェーンを紙の穴に通して、とめているものです。「※30分以内に、この台紙からはずせるのは100人に1人!」とあります。ちびどもがバレエの練習にでた後、挑戦することにしました。誰もが最初こころみるやり方では決してはずせないことはすぐにわかりました。しかし、では、他にどんなやり方があるのかはすぐにはわからなかったのですが、たぶん、立体的に考えないといけないな、ということは予想されました。25分を超えたところで、紙を立体的に扱う、すなわち、折ることを思いつきました。それで解決。
ささいなことですが、ほっとしました。
なお、http://www.au.kddi.com/chiiki/kanto/ に解答があるとのこと。
[3代目]
初代:カシオ QV10 。2代目:オリンパス CAMEDIO C-840L。
私の買ったデジカメです。2代目を買ったのは、はっきりとは覚えていませんが、かなり前です。130万画素。重宝してきましたが、画素の点で最近の携帯に負けています。ということで、海外旅行のためにも、小さく軽く、300万画素ぐらいの3代目を捜すことにしました。ちょっと前であれば、すぐに新宿の量販店をいくつかまわって比較・考量し、選択したと思いますが、今はその足はありません。
もしかしたら結構使えるかもしれないと思っていた、アマゾンのエレクトロニクスを見て回りました。内蔵HD(単体)だとかだと、秋葉原をまわった方が安いのですが、デジカメだと秋葉原のもっとも安い店と並ぶ値段ででています。アマゾンの場合、配送料無料ですから、交通費を考えれば、実質最安値と言えます。(値段は、価格情報を調べました。)
30分ほどウェブを見て回って発注しました。たぶん、月曜日には着くと思います。
ひとり遅れて、8時前。今日は朝一番で歯医者さん。→前の下の歯の歯石とり。20分で終了しましたが、麻酔が抜けたのは12時頃で、それまでなんとなく気合いが抜けていました。→長袖と半袖の境目あたりの気温。私は、半袖のままとしました。日が暮れてから雨。『批評の事情』を読了しました。構成は次のようになっています。
1.社会はどうなる?
宮台真司、宮崎哲弥、上野俊哉、山形浩生、田中康夫、小林よしのり、山田昌弘、森永卓郎、日垣隆、コラム―プレ90年代の批評家たち
2.時代の思考回路
大塚英志、岡田斗司夫、切通理作、武田徹、春日武彦、斎藤環、鷲田清一、中島義道、東浩紀、コラム―GSの仲間たち
3.芸術が表わすもの
椹木野衣、港千尋、佐々木敦・阿部和重・中原昌也、樋口泰人・安井豊、小沼純一、五十嵐太郎、コラム―マイスターたち
4.ライフスタイルとサブカルチャー
伏見憲明、松沢呉一、リリー・フランキー、夏目房之介、近田春夫、柳下毅一郎、田中長徳、下野康司、斎藤薫・かづきれいこ、コラム―吉本ズ・チルドレン+小室ズ・チルドレン、
5.文芸は何を語る
福田和也、斎藤美奈子、小谷真理、小野谷敦、豊埼由美、石川忠司、坪内祐三
どこかで文章は読んだことがあっても、ほとんど知らない著者もいました。よく知っている著者がどのように扱われているかという関心で読み始めたのですが、途中からあまり知らない著者の紹介の方が面白くなりました。そのなかで、本を買って読んでみようと思った筆頭は、柳下毅一郎氏です。永江朗氏は、副題に「バッドテイストの作法」とつけています。それよりも、柳下氏本人の「特殊翻訳家」の方がインパクトがあります。
おそらく6時半。昨日も、昼間は30度を超え暑い日でしたが、日が暮れるとすーと涼しくなり、夜は寒く感じました。読み始めてしまったので、『批評の事情』を読み続けています。面白いのは面白い。しかし、この感覚は何だろうという思いもあります。一つは、文章の強度が継続しない点にあります。批評の強度のあるパラグラフのすぐあとに、まるで弛緩したパラグラフが続きます。活字では、この弛緩、つまりごく日常的なおしゃべりに近い文章はまずいのではないでしょうか。(輝きのあるよい文章もあります。)
宮台真司、上野俊哉、山形浩生、小林よしのり、森永卓郎、大塚英志、切通理作、武田徹、椹木野衣、港千尋、佐々木敦・阿部和重・中原昌也、福田和也、斎藤美奈子、石川忠司を読みました。今度は読んだ順ではなく、頭からです。浦和レッズ対FC東京を見ました。今の浦和レッズに勝つにはこうすればよい、というゲームを展開して、1対0でFC東京の勝ち。
ちびどもは、おそらく5時40分ぐらい。われわれは6時20分。午後、大学院教授会。→2時開始の会議ははじまったら10分足らずで終了。2時半開始の教授会は、3時20分には終了。そのまま多磨駅3時28分の電車で帰ってきました。西荻からの帰り途にある本屋さんで、『サイゾー』『新潮45』10月号、並びに、永江朗『批評の事情』(ちくま文庫、2004;もと原書房、2001)の3冊を買いました。
すぐに読む気はなかったのですが、『批評の事情』を開いてしまいました。副題は、不良のための論壇案内、です。はっきり言ってこのサブタイトルは最低です。1990年代に活躍しはじめた批評家・評論家44人についてのエッセイ風紹介記事です。同世代の人々の考えていること、感じていることに前から関心があり、ちょうど私と同じ世代のものかきが大勢取り上げられています。坪内祐三、小野谷敦、小谷真理、リリー・フランキー、松沢呉一、夏目房之介、近田春夫、鷲田清一、中島義道、東浩紀の順で読みました。ちょうど4分の1です。分析は違うなと思うことの方が多いのですが、対象に関心があるので、面白い。ポストや現代やその種の週刊誌に1週1本で連載される文章ののりです。(連載ではありませんが、実際にそのように執筆したとあります。)
そろって、7時過ぎ。ちびどもも少し疲れたのでしょう。9月14日に記したキムラヤ倒産のニュースですが、今発売のアエラに記事がありました。ドンキホーテに代表される新規安売り大規模量販店に負けた、という分析でした。吉祥寺のキムラヤはけっこう使いやすく、私は重宝していました。ドンキホーテは面白いのですが、ドンキホーテだけというのも困ります。
平井さんのサイトで既にかなり紹介されている、来年3月のボルドー会議ですが、問い合わせメールが1週間ほど前に来ています。イギリスには留学していましたが、大陸には足を踏み入れたことがなく、様子がわかりません。基本的なガイドブックは必要だと思い、『地球の歩き方』でフランス編を買ってきました。
誰に聞いても何とかなると答えてくれますが、体験値が0というのは、やはりいろいろと心配になるものです。Jリーグの若手養成で、ほんとうに早い時期から海外での試合を体験させるというのは、実に正しい。
国際的なシンポジウムに参加するのも実ははじめてです。発表内容そのものには不安はもっていないのですが、参加の仕方がよくわからず、平井さんにいちいち相談しつつ、プランを練っています。夕刻に歯医者さん。いましばらく歯医者通い。→上の前歯の歯石取りのみ。ちびどもが就寝するころまで麻酔が残っていました。虫歯の治療ではないので、それほどの痛みはないのですが、歯の治療は心身にいくばくかのショックを残します。若いことはもっと痛みに強かったと思っているのですが、年を取ると、痛みに対する耐久力も落ちてくるようです。
歯医者さんへの通り道に、知る人ぞ知るアンティーク&リサイクル家具ショップがあります。回転が速く、新品でなくてもよいという人にはお手頃の家具がおいています。実は、私の部屋にローテーブルがほしいなと思っていました。机の上がなくなると、床に資料をばらまいて仕事をしていますが、低くてもテーブルがあった方がやりやすいな、と思っていたものです。
帰り道、アンティークの方の店先をふっと見ると、ちょうどよいローテーブルがあります。近所なので、30分程度で配送してくれました。部屋に設置すると、ただちにちびどもに占領されました。
大きさは、W1200*D440*H450 です。店頭で見かけたよりも部屋のなかでは大きく感じます。
ひとり遅れて7時半。ちびどもは6時と6時半。昨日少し疲れたようでした。→今日も最高気温の予想が31度。一昨日読み始めた、山口泉『宮沢賢治伝説―ガス室のなかの「希望」へ』を読み通しました。
[千のキミア]
最近すこしお休みしている「千のキミア」プロジェクトですが、大学にでたときに、一つのHDにまとめるための作業をしています。前に増設した80GのHDに全部をコピーして、最終的には一覧できるようにしたいと考えています。先週大学にでたときに、ともあれ、所在がわかっているものだけHDに集めてみました。15.5Gの容量を使いました。量的には、「千のキミア」の全ファイルは、この80GのHDに収まることになります。最終的にどのぐらいの容量になるかは、正確にはわかりませんが、30G〜40G程度ではないかと見積もっています。(一つのファイルが平均で100Mならば、千でちょうど100G。計算は簡単です。私の見積もりは、平均値で30M〜40Mということです。)
せっかくですから、一覧できる形にしたものは、普段使っているマシーンにも、いつでも使えるHD上のライブラリーとして備えておきたい。そうすると、実は現在のこのマシーンのHD容量では足りません。今のマシーンには2台HDを搭載していますが、容量はあわせて26G程度。ということで、HDをどうしようかけっこう迷っています。内蔵してしまうが使い勝手がもっともよい。しかし、このマシーンのHDはナロースカジーという絶滅品種です。内蔵するなら、IDE カードを買ってきて、IDE のHDに換装することになります。2万円で目的を達しますが、ちょっと面倒。外付けという手もありますが、このマシーンに増設して USB1.1 ではちょっと力不足を感じています。FireWire の増設カードを買ってきて、FireWireでHDを外付けにすれば、用は足りるでしょう。
急がないことなので、ずっとどうしようか考えています。
ちいさいちびが起きて騒いで、6時。吹く風は涼しいが、気温は少し高くなりそうです。[バレエの発表会]
発表会で午後中野サンプラザ。どうなりますやら。→発表会というのは、ちびどものバレエの発表会です。近所に体操教室をやっているところがあり、そこが幼児(小学生にあがる前のこどもたち)のためのバレエ教室を開いています。ちびどもには、体操とバレエの差はたぶんまだなく、けっこう楽しいようです。上の子は、1年ほど前から、下の子は年齢制限にかかっていたのですが初夏のころに何とか参加を認めてもらって通っています。練習は1週間に1時間。近所にあるのは、割と大きめの教室の一支店で、秋のはじめに毎年発表会を開いているようです。
発表会は、朝から中野サンプラザを借り切って、行われます。ちびどものバレエは、リトルまたはジュニアと言う名称で、午後4時半スタートで32教室が発表します。当初の指示では1時集合、5時過ぎ舞台、ということでした。上の子はまだしも、まだ昼寝をすることも多い下の子にこのスケジュールは無理ではないかと思っていました。まあ、でも、本人がでるというので、参加させることにしたものです。1時に集合するのは、舞台化粧のためです。これは昨日担当の先生と相談して、2時でよいというふうに延期してもらいました。
ということですが、家のなかにずっといるとちびどもは飽きてきて、暴れることが少なくない。ということで、お昼ご飯のあと、ゆっくりめに準備してでかけたら、1時半に控え室に到着しました。3時からリハーサル。そのとき、ちいさいちびは、明かりが落ちて暗くなったことに驚き泣きましたが、ともかくなんとか舞台に立ちました。
心配は疲れたり、眠くなって暴れるのではないかということでした。1週間にたった1時間ですが、同じクラスに通って一緒に練習しているこどもたちとけっこう仲良くなっており、控え室でうるさいほど一緒に遊んでいました。ある種の遠足やピクニック状態です。お友達と遊ぶのが楽しかったので、5時10分にはじまった舞台までもちました。演目は、たぶん5分程度のものだったと思います。
ちびどもの順番は、ジュニア・リトルの部門の8番目でした。ということで、8つのジュニア・リトル・クラッシクダンスを見ましたが、だいたいどのくらいのレベルに達するのかわかりました。
ちびどものダンスが終わった後は、脱兎のごとく帰宅したので、小学生たちのクラスのバレエは見ていません。ちびどもがバレエをいつまで続けるのかはまったくわかりませんが、ずっと続けたとして、小学生のバレエを見ることができるのは、ちびどもが小学生になってからです。
親としての最大の心配は、そもそも下の子が舞台にたつまでもつかということでしたが、お友達効果でなんとかなりました。無事に終わる可能性は、実はそれほど高く見積もってはいなかったのですが、きちんとやりとげるとちびどもにも満足感があるようで、今日は面白かったと言っていました。
暑い一日でした。
ひとりで4時30分。朝、おおきいちびが暗い顔で明日の発表会行かないというので、話を少し聞いてやって、これは遊びに連れていってやればよいだろうと、動物園に行くことにしました。はじめて自転車に乗せて行きました。ひとりで動くにはまったく問題のない距離なのですが、前後にちびどもを乗せていくと、少し遠い。できるだけ車のほとんど通らない道を選びました。大学が休みのときはずっと家にいることが多いので、足の筋肉がいくぶんか弱化しています。妻用にサドルを低くしていますし、ちょうどよい運動になりました。
ちびどもの動物園での行動パターン。1.まずお団子を食べる。(たれなし)。2.ウサギちゃん(ほんとうはハムスター)に触って遊ぶ。3.遊園地でいろんな乗り物に乗る。4.公園でブランコや滑り台に興じる。5.おなかが空いてご飯。
そう、動物はほとんど見ていません。昨日は、猿を5分見たのが、最長の見学時間。昨夜から、8月末に買ってきた、山口泉『宮沢賢治伝説―ガス室のなかの「希望」へ』(河出書房新社、2004)を読み始めました。納得できる批判です。
午後7時からの、浦和レッズ対新潟アルビレックスを見ることができました。レッズの攻撃はすばらしい。スピードが気持ちよい。
ひとりで6時10分。朝晩は涼しくなりました。最近またウィルスメールとジャンクメールが増えました。ウィルスも涼しくなると活動を再開するわけでしょうか、と言いたくなりますが、もちろん、だれか人間が活動を再開しているのでしょう。面倒なので、サーバーで一括処理してくれないかな、と思います。
昨日に続き、大学へ。少し動くとむしむしします。たぶん、気温に応じて調整しているのでしょうが、電車のなかのクーラーがそれに対して効きすぎていて、寒い。ともあれ、なかなか難しい季節です。
[へラクレイオン]
何気なくディスカベリー・チャンネルとつけると、海に沈んだ古代エジプトの神殿都市ヘラクレイオンを発見する番組が放映中でした。こういうのは、単純にとても面白い。私は考古学者に憧れたことはありませんが、あういう発見ができるのであれば、確かに考古学者は面白い仕事かもしれません。海に沈んだ都市がまるまる発見されたわけですから、いろんな興味深い発掘物がありましたが、とりわけ非常にきれいな状態で見つかった石の碑文が驚きでした。もちろん、私にヒエログリフは読めませんが、文字そのものは私でもはっきりとわかりました。
西村氏の雑記帳
ディスカベリー・チャンネルのプログラム
発見者のサイト
ただし、私には1点疑問があります。テレビでは、都市が海底に沈んだのは、地震 or/and 洪水等の自然災害によるであろう、時期は紀元前1世紀から紀元後1世紀とのことでした。一つの都市を沈没せしめるほど大きな(あるいは強い)地震や洪水があったとすれば、同時代の記録があるはずだと思いますが、その点への言及がテレビではありませんでした。カエサルからイエスの時代です。該当する同時代の記録のことが知りたい。3時から歯医者。→本日は歯石取りのみ。約30分ほど。
ちいさいちびが起きて、6時20分。朝は寒く感じます。[重力と磁力の発見]
昨日のニュートンとキルヒャーの関係ですが、気になるので少し調べてみました。山田博士の論文によれば、キルヒャーの磁気哲学を正面から扱った著作は、非常に少なく、ボールドウィンの博士論文が嚆矢のようです。
Martha Baldwin , Athanasius Kircher and the Magnetic Philosophy, Ph.D. dissertation, University of Chicago, 1987.
また、「キルヒャーとニュートン」と題する論文があのフィンドレンによって著されています。
Paula Findlen, "The Janus Faces of Science in the Seventeenth Century: Athanasius Kircher and Isaac Newton", in Margaret J. Osler, ed., Rethinking the Scientific Revolution, Cambridge: Cambridge University Press, 2000, pp.221-246.
気になるので、大学への行き帰りで、この論文を読みました。広く「自然魔術」という点では重なるところが大きい。しかし、宗教的見解では正反対(ニュートン:アタナシウスこそ腐敗の原点。キルヒャー:ニュートンが腐敗のおおもとと見たものに聖三位一体の理論を見る。)だった。ニュートンはキルヒャーの本を買おうとしなかった。こうありました。
6時半。私がいちばん最後。昨日の夕食後、前歯の詰めていた部分が欠けました。1ミリ程度なので、現実にそれほど影響はないのですが、弱り目に祟り目というのでしょうか、歯は体調が悪いときに故障することが多い。今日は午前中に、最初に故障した部分を直してもらいますが、9月いっぱいくらいは歯医者にかかっていそうです。体調が悪いのはバイオリズムの問題なので、まあ来週ぐらいには快復しているのではないでしょうか。→40分ぐらいで、今回歯医者にかかった最初のトラブルを解消してもらいました。つまり、欠けていた部分を詰めてもらいました。方式は、たぶん、差し歯というのだと思います。土台を歯茎のなかにたてて、その上に、帽子状に歯形をかぶせました。
なお、ウェブで調べると(つまりこの日誌を調べると)前回歯医者にかかっていたのは、2003年1月です。ということは、今回は1年半ぶりということになります。歯医者通いは嫌なことなので、できるだけすぐに忘れるようにしています。ですから、こういう記録でもとっていないと前のことは忘れています。[重力と磁力の発見]
近代のはじまりでは、ギルバートとケプラーを読みました。山本義隆氏は、物理学の概念を扱うと筆がさえます。ギルバートが実際は、デラ・ポルタに大いに依拠しつつ、著作で名前をあげるときには欠点を指摘することにとどまっているとありました。やっていますね。よくある話です。今だって、そういうことはないことではありません。本当に優れた2次文献の欠点・足りない部分を指摘することは意味のある仕事です。しかし、しょうもない2次文献は、わざわざ取り上げるに値しないと判断されることがあります。
もしかしたら、例は適切ではないかもしれませんが、クーンのパラダイム概念のように、大きく根本的な仕事こそ、いろんな観点からの批判にさらされます。時代を共有していると、ささいな(でも重要かもしれません)批判よりも、クーンの仕事が根本的だという理解が行き渡っていますが、何世紀かたったときに、そのあたりの事情を読み違えるということは大いにありえます。
まあ、ギルバートの場合、意図的で不当なソースの隠蔽ということのようです。ちびどもが寝た後、『磁力と重力の発見 3近代のはじまり』を読了しました。残るは、1古代・中世です。最後の章(第22章)「エピローグ―磁力法則の測定と確定」は見事でした。これまでの物理学史ではほとんど無視されていたニュートン以降の磁力測定、つまり磁力も距離の2乗に反比例することの実験的証明過程がはじめてしっかりと記述されていました。
それに比べて、山本氏の著作のもっとも中心的なねらいの部分、「磁力→重力」に引かれている線は細い。筋は通っています。綱渡りというわけではない。しかし、たとえば錬金術の能動原理の概念がニュートンの重力概念に影響したという説は一言だけ触れられていますが、まったく探究されていません。著作の主旨から言って、その探究は必要だったと思われます。また、以前に山田博士のコメントとして紹介した事柄、つまり、17世紀半ばの磁気哲学においてもっとも有名だったキルヒャーの名前が一度もでてきません。(索引にもキルヒャーは取り上げられていません。)近代力学における力の概念の創出にキルヒャーが直接関与したということはほとんど考えられませんが、17世紀半ば、すなわち、ボイルやフックが科学研究を開始し、ニュートンが勉強を開始したころには、キルヒャーの名前はとても大きいものでした。たとえ、ニュートン自身がほとんどキルヒャーを読んでいない(調べていないので、確かなことはわかりません)にせよ、少なくとも1パラグラフは触れてもらいたかった。(ニュートンとキルヒャーについては、山田博士の博士論文『17世紀西欧地球理論の発生と展開』179頁をご覧下さい。)教授会の日。9月の水曜日は、これからずっと教授会、またはそれに準ずる会議が続きます。→開始後1時間学長の話しがありました。それから教授会。5時15分過ぎに終了。6時前に帰り着きました。吹く風がひんやりとします。涼しくなりました。
ちびどもが目覚めて6時。ちびどもは、昨日、幼稚園のあとお友達のおうちに遊びに行って疲れたようです。歯が欠ける夢を見ました。ずっと前ですが、歯がごそっと抜ける夢を見たことがあります。これが、なかなかに怖い。目覚めた途端に忘れる夢も多いのですが、起きてからもその気分が継続する夢もあります。
国内12頭目の狂牛病BSEのニュース
Asahi.com の記事
キムラヤ倒産のニュースもありました。リンクを捜したらもうなくなっていました。吉祥寺でパソコン関係のものを買おうと思ったら、これからはラオックスだけ、ということになりました。ツクモはすぐに撤退しましたし、T-ZONE も撤退しています。ツクモもT-ZONE も客の入り具合で、ああ吉祥寺では無理かなと思っていましたが、キムラヤはパソコンが柱ではありませんし、何とかなっているのかなと思っていたら倒産の報道。[重力と磁力の発見]
2のルネサンスは読み通しました。3の近代のはじまりに突入しています。
ちびどもが目覚めて、6時30分。ほぼ昨日と同じ。曇っていて、朝なのに薄暗い。おおきいちびの幼稚園がはじまって、だいたいリズムが決まったようです。→ちびが幼稚園にでかける時分にはよく晴れてきました。これで少し気温が上がっていくのでしょう。延期になった歯医者の日。午前中。→約45分。仮歯をかぶせたあと、右下の歯石とり。一番奥の歯が3箇所虫歯ということでした。あと数回かかるようです。
[重力と磁力の発見]
歯の治療を受けるといつも軽いショック状態になります。気持ちがよれよれになります。麻酔は1時間程度でさめましたが、ほんとうに気持ちの点で回復したのは、夕食後でした。HDのバックアップの作業を行いつつ、読みかけていた、山本義隆『重力と磁力の発見 2ルネサンス』を繙いています。面白い。科学史の専門家として細かい点に関しては違うのではないかと感じる点もありますが、通読できる形で書かれているということの価値はゆるぎません。
ちびどもが目覚めて、6時20分。ほぼ昨日と同じ。晴れていて涼しい。ちびは、夜は冬だった、と言っていました。→秋の好日。ただし、私はたぶんバイオリズムの底の方で、ぼけています。仕事の方も、いつもの1〜2割程度。まあ、こういう日もあるでしょう。→こういう日には、よく、ケーブルテレビのディスカベリーチャンネルやアニマル・プラネットを見ます。これがけっこう面白く、勉強になります。今日はアニマル・プラネットで、カリフォルニアの浅瀬に住むレモンザメを特集していました。割と見ているのは、ディスカベリーチャンネルの犯罪捜査、とくにプロファイリングの番組。実は、不思議なおじさん雑誌『新潮45』も同じ関心で買っています。また残暑がやってくるようです。夜になっても気温があまり下がっていきません。
[グーグル一色]
夜は、検索サイトをぐるっと見ていました。ヤフーに続き、グーもエキサイトも検索エンジンにはグーグルを使っていました。ということは、この4つに関しては、どこで検索をかけても差がでないということになります。こういうのもなんだかなー。ヒット率は落ちても、別のロジックの検索エンジンがあった方がよいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
インフォシークも検索エンジンにグーグルを使っていました。私が使うことのある検索サイトはすべてグーグルを検索エンジンに採用したことになります。グーグル一色。
ちびどもが目覚めて、6時半。昨日と同じ。曇りで涼しい。[本日のガリカ:休店]
さて、もうすこしで途半ばと思い、ガリカにアクセスすると、お休み中。メインテナンスのために、数日休業とのこと。フランスのネットワークコンピュータの事情に詳しい方に聞くと、使っているシステムがいまいちのようです。
ということで、アルキメデス・プルジェクトのステヴィンを見ていました。ぱっと見ると3点あがっているように見えます。でも、もとは一つです。ステヴィンは、オランダ語で執筆しています。その静力学の著作、De Beghinselen der Weegconst1579 があります。テキストと画像の両方があります。ついで、ステヴィンは数学にも大きな貢献があり、いわば数学的諸学のラテン語全集、Hypomnemata mathematica1605-1608 があります。もうひとつは、その数学的全集から第4巻機械学 (Tomus quartus mathematicorum hypomnematum de statica 1605) だけをとりだしたものがあります。
このなかでは、オランダ語のものが使いやすい。オランダ語の画像、テキストだけではなく、英語による解説とオランダ語英訳対照版がアップされています。画像の品質も英訳対照版がいちばんよいようです。(ラテン語版は画面上では何とか読めますが、印刷すると読める品質ではなくなります。解像度が低いせいです。)
ちなみにステヴィンの中心的著作には次のようなものがあります。(ディスクテルフイスによる)。
I. Tafelen van Interest, 1582
II. Problemata Geometrica, 1583
III. Dialecktike ofte Bewysconst, 1585
IV. De Thiende, 1585
V. L'Arithmetique, 1585
VI. De Beghinselen der Weeghconst, De Weeghdaet, De Beghinselen des Waterwichts, 1586; ook in XI
VII. Vita Politica / Het Burgherlick Leven, 1590
VIII. Appendice Algebraique, 1594; hoort bij V
IX. De Stercktenbouwing, 1594
X. De Havenvinding, 1599; verkorte bewerking in XI
XI. Wisconstighe Ghedachtenissen, 1605, 1608. In 5 Stucken
XII. A - Castrametatio, Dat is Legermeting
ラテン語版数学的諸学の全集は、5巻からなります。
I. Tomus primus in 3 pts, each with special t.p.: Tomus primus Mathematicorum hypomnematum, de cosmographia (in 4 books and appendix, each with half title) -- Secunda pars cosmographiae, de geographia -- Cosmographiae pars tertia de coeli motu (half title only).
II. Tomus secundus Mathematicorum hypomnematum de geometriae praxi (in 6 books, each with half title).
III. Tomus tertius Mathematicorum hypomnematum de optica (in 2 books, each with half title).
IV. Tomus quartus Mathematicorum hypomnematum de statica (in 5 books and 4 part Additamentum, each with half title).
V. Tomus quintus Mathematicorum hypomnematum, de miscellaneis (in several sections with 14 half titles)
多彩な業績です。ステヴィンは職業上は技師ですが、純粋に理論的な側面でも注目度に比べて、ずっと重要な仕事をしていると言ってよいと思います。
ざっと調べてみたところ、ステヴィンの著作の邦訳は1点も見つかりませんでした。それほど長いもののではないので、静力学の基本だけでも誰か訳出しないのでしょうか。
ちいさいちびが起きて、泣いたせいで、全員、6時半。まあ、ちょうどよい時間です。4回目の歯医者さんの予定でしたが、型がうまくできなかったという電話があり、月曜日に延期。
[本日のガリカ]
ガレノス8点に続き、アリストテレスを10点ダウンロードしました。実はガリカで検索をかけるとき、古典作家の名前にはけっこう苦労しています。日常的にフランス語を使っている方々には常識なのでしょうが、たとえば、ガレノス= Galien とか、アリストテレス = Aristote とか、デモクリトス = Démocriteとか、エンペドクレス = Empédocle とか、フランス語での表記の知識がないと、そもそも検索がかけられません。ちょうど検索するコンピュータ(ちびどもの iMac をOS X にして使っています)の隣に、Bloch, La philosophie de Gassandi があったのです、その著者名索引を使っています。
フランス語の科学史の簡単な概説書、あるいは年表を購入しようかと思いました。その種のものは、1冊手元にあってもよいでしょう。[俗説弁惑]
トマス・ブラウンの『医師の信仰』を読み始めました。ちょっと予想とは違い真面目な本でした。ついでに、ウェブですこし様子を見てみました。南方熊楠がトマス・ブラウンを使っています。書名の訳が、『俗説弁惑(プセウドドキシヤ・エピデミカ)』。この訳語は、我々には逆立ちしても思いつく言葉ではありません。ウェブで初期近代やルネサンスのものを調べていると、どうも多くの方々には、ルネサンスも初期近代も中世というふうに感じられているようです。『俗説弁惑』という書名を用いると、その距離感がだせるでしょうから、今後はこの訳語を使おうと思います。
ちなみに、学生たちは、19世紀でも中世と感じています。
なお、『医師の信仰』の訳者の方は、Pseudodoxia Epidemica, 1646 に対して『伝染性謬見』という訳をあてられています。今訳せば、こんなところでしょうか。
ひとりだけ遅くて、7時半。少し体調不良。疲れがでたようです。こういうときに涼しくなっているのはたすかる。→こういうときにはあまり効率があがらないので、ぼちぼち机のまわりの片づけや書類の処理をしています。春からの作業で、コピーだけとって適当にボックスに入れてあったものを片づけはじめました。まず、パーティントンの大著『化学の歴史』から、技術的文献の章。これは、ビリングッチョからはじまり、レムニスまでをカバーしている章です。今作業していることにちょうど重なります。こちらの関心とパーティントンの記述とは重ならないことが多いのですが、基本的な書誌がしっかり記されているだけでも助かります。そして、アグリコラの節のなかに挿入された「鉱山」は次のような内容となっています。
965年、ゴスラーでの銀の発見は、ハルツ山地での鉱山業の開始に繋がった。ヨハヒムスタールでは13世紀に銀鉱が発見された。シレジアでもほぼ同じ頃、金が発見された。シェーネベルグでは1460年に銀が発見された。ヨハヒムスタールの銀鉱は16世紀はじめに開かれ、銀貨は1519年にはじめて刻印された。
なお、パーティントンは、ウェブスターの短い小節で、「ウェブスターはボイルの『懐疑的化学者』に言及していないようだ」と述べていますが、明らかに間違いです。ウェブスターの本を実際に10分でも見ていれば、けっこうボイルを高く評価していることはわかりますから、パーティントンはウェブスターの本を実際に手に取っていないことがわかります。ウェブスターの小節は、2次資料と書誌資料だけから記述しているように思われます。[本日のガリカ:ガレノス]
本日のガリカは、ガレノスを8点。久しぶりにダウンロードエラー。おそらく98%まで達して止まっていました。機を見て、再度トライします。→ついでにアリストテレスも。→「千のキミア」プロジェクトはもうすぐ途半ば。今月は、ここまでで52枚。このペースで1ヶ月継続すればすごいのですが、もちろん、こんなペースが長く続くことはありません。
昨夜は、台風の連れてきた蒸し暑さのせいで、寝苦しい夜でした。雨はごくわずかでしたが、風がかなり強く吹いていました。台風の進路からはかなり距離のあった東京でさえこの強さですから、近かったところはすごかったのではと想像します。
おおきいちびといっしょに6時。今日は大学にでます。→ちびの幼稚園といっしょにでかけ、2時半に帰ってきました。研究室では片づけをしていました。必要な量の2割程度すすんだでしょうか。情報の整理には時間がかかります。
帰ってくると、暑い。風は吹くのですが、気温が高くなっています。ワールドカップ1次予選、日本対インドを見ました。試合そのものにわくわくしたり、スリリングだったりするところはなかったのですが、4対0で日本の勝ち。ハーフタイムのあと、40分近い停電。予想していなかった事態です。ベンチの選手達は笑っていましたが、ほんと笑うしかない。
ほぼそろって7時前。台風は九州に接近しているようですが、今朝はとりあえず晴れています。[鉱山町の名前]
16世紀から17世紀にかけて有名だった鉱山町の情報をできるだけ集めておこうと思い調べています。まず名前で苦労します。
アグリコラは、古くから知られている鉱山として、シェムニッツとクレムニッツの名前をあげています。地名辞典は手元にあります。シェムニッツはすぐにわかりました。
Schemnitz: Banska Stiavnica, or Selmecbanya (Hugary) , Schemnitz (German)
バンスカ・シュティアフニツァ:スロバキア南西部の鉱業町。
クレムニッツは、苦労しました。新しいボイル著作集には、クレムニッツ、すなわちケムニッツという編者注がついています。1年前なら文句なく信じたのですが、これはちょっと怪しいと思い、調べてみました。ケムニッツはすぐにわかります。アグリコラがヨアヒムスタールのあと住んだ町です。市長もしています。位置ですが、ドイツのドレスデンの南西にあるフライベルグのすぐ西にあります。エルツ山脈の北側ということになります。
さて、アグリコラがシェムニッツと並べて名前を出しているクレムニッツは、古くから有名な金鉱のある町です。インターネットで検索をかけてみると、次の情報に出会いました。
-cremnitz, gremnitz, kremnitz, kremnitzer, chremnitz, chremnitzer, kremenetz, krementzky
これで、そうだ、"kremnitz" でも調べてみないとと思い、地名辞典を引くとありました。
Cremnitz: Kreminica, Kärmöcbanya (Hungary), Kremnitz (Germany)
クレムニツア:中部スロバキア中西部の町。別名、ケルメツバーニャ(ハンガリー)、クレムニッツ(ドイツ)。造幣局があった。1920年までハンガリー。
中部ヨーロッパのこの地帯は、ややこしいけれども仕方ありません。少なくとも3つ、すなわちドイツ語での呼称、オーストリア=ハンガリー帝国下での名称、現在の国家のもとでの呼称を意識しなければなりません。
以上で名前の問題はクリアーされたわけですが、地図で確認したい。
ケムニッツは割と大きな町のようで、フライブルクがでてくる地図には名前があります。ヤーヒモフ(ヨハヒムスタール)は、エルツ山脈をはさんでそのすぐ南側。チェコの北の端にあります。
バンスカ・シュティアフニツァ(シェムニッツ)は、スロバキアの中心部にある割と大きな都市バンスカ・ビルトリツァ (Banska Bystrica) の南西約30キロ。クレムニツァは、バンスカ・ビルトリツァの西10キロといったところでしょうか。
なお、フライブルク、ケムニッツ、ザイフェン、オーバービーゼンタール、アンナベルク、シュネーベルクは、どれも、ドレスデンの南西部、エルツ山脈の北側にあります。すべて現在のドイツ国内。ザイフェン、オーバービーゼンタール、アンナベルク、シュネーベルクは、フライブルク、ケムニッツの南側、すなわち、より山の中に入った場所です。
以上、ドイツの中の鉱山町は、インターネットのシティ・インフォーメーション、ドレスデン周辺図で見ることができます。
スロバキアのものは、インターネットではなかなか詳細なものを捜すのが難しく、近くの図書館にでかけて、地球の歩き方を見ました。おやつの時間帯に、3回目の歯医者。今日は麻酔をしてから、小さな虫歯の治療をし、上下の歯形をとり、歯石をとりました。ほぼ1時間。麻酔をすると、数時間は、感覚の麻痺が残ります。
昨日は、アグリコラの『デ・レ・メタリカ』の英訳がウェブでゲットできると報告しました。サットンさんのサイトによれば、アグリコラの著作がほとんど得られることになっています。ただし、もっとも多いサイトはサーバーエラーを返してくるので、きちんと調査してみないとわかりません。とりあえずと思い、次の表示のあるページをクリックしていました。
AUTHOR Agricola, Georgius (1494 - 1555)
TITLE De animantibus subterraneis liber URL http://archimedes.mpiwg-berlin.mpg.de/cgi-bin/toc/toc.cgi?dir=agric_remet_001_la_1556;step=thumb
SITE Archimedes Project
SUBJECT Esoterica (?)
NOTES Dpr of the 1556 Basel edition
なんと、これが、『デ・レ・メタリカ』でした。画像とテキストの両方があります。すばらしい。実は、アルキメデス・プロジェクトは一度しっかり見てみないといけないな、と思いつつ、ずっと忘れていました。機械学-力学の歴史に関して、たとえばニュートンの『プリンキピア』、偽アリストテレスの『機械学の諸問題』等々、ほんとうに科学史の古典中の古典が、画像とテキストの両方でアップされています。すばらしい。(点数は現時点で106点。)
アルキメデス・プロジェクト
アルキメデス・プロジェクトのリストのページ
(なお、画像もテキストも1ページ1ページのダウンロードとなります。0よりは圧倒的によいのですが、マンハイム大学のマテオ・プロジェクトのように、テキストファイルに対して、画像がリンクされている形式の方がずっと使いやすいことは間違いありません。)
おおきいちびといっしょに6時半。昨夜はちいさちびが(原因はいつもよくわからないのですが)うまく寝付けず、何度もぴーぴーいっていました。
おおきいちびの幼稚園が本格的に、すなわちお弁当付ではじまります。私は、飯田橋に出張校正にでむきます。時間を見て、その後、どこかの図書館にでむこうかと思っています。→コンピュータに向かっていると舌先に違和感。鏡で見ると、舌先が見事に赤く腫れています。歯の治療のせいでしょうか。→どういうことなのかよくわかりませんが、30分で大きな腫れは直りました。少し赤い点は残っていますが、まず大丈夫なようです。ちいさいちびが医者に行くのと同時に家をでて、飯田橋へ。出張校正は、約1時間半で無事終了しました。ちょうどよいので、飯田橋―代々木―渋谷―東大駒場前、という経路で駒場図書館に向かいました。夏学期駒場に通っている間、ずっとアグリコラの De re metallica, もとのラテン語の復刻版がどこにあるのか捜していたのですが、東大のOPAC で見ると、開架書架にあるとあります。案内板には和書しか記されていませんが、こういう場合は現場を見るに限ります。なんと、洋書の大型本だけ、和書と同じ開架空間に別置されていました。喉に刺さったとげがとれたような気分です。なお、その周辺には、『デ・レ・メタリカ』のスペイン語訳もあり、また、あの幻(?)の美書、エルンスト・ヘッケルの『自然の芸術的形態』のもとの版もありました。英訳のペーパーバックは持っているのですが、やはり、もとのものの迫力にはかないません。他に目立ったのは、シーボルトの図譜です。ジャイアント・フォリオよりも大きな版型のものが何冊かどーんとありました。必要な作業をすませ、そとにでると、蒸し暑い。
蒸し暑さのなか、家に帰り着くと、荷物が。何だろうと思って繙くと前に発注していたエルカーの英訳がでてきました。
Lazarus Ercker
Treatise on Ores and Assaying,
translated from the German Edition of 1580 by Anneliese G. Sisco and Cyril Stanley Smith, Chicago: 1951
Original title is: Beschreibung allerfürnemisten mineralischen Ertzt unnd Bergwercksarten
これで、ルネサンスの時代の3大鉱山技術書が英訳でそろいました。
アメリカ大統領をつとめたフーバー夫妻による『デ・レ・メタリカ』の英訳(20世紀はじめ)、ビリングッチョの『ピロテクニカ』の英訳(20世紀半ば)、そして、エルカーの『鉱石と試金について』の英訳(20世紀半ば)です。アグリコラとビリングッチョの英訳は、ドーヴァーのパーパーバックで入手できます。
グーグルで検索をかけてみると、『デ・レ・メタリカ』の英訳のテキストファイル(とpdf ファイル)が入手できることがわかりました。こいつはとても便利です。著作権は問題ないのかと思いますが、ともあれダウンロードしてストックしてあります。
オリジナルの初版の情報は次の通りです。
Vannoccio Biringuccio, De la pirotechinica, Venice,1540.
Georgius Agricola, De re metallica, Basel,1556.
Lazarus Ercker, Beschreibung allerfürnemisten mineralischen Ertzt unnd Bergwercksarten, Prague, 1574.
このエルカーの英訳ですが、有用な前書きがついています。
英語で記された鉱物(学)書は、出版順に記すと、次のようになります。
1) Gabriel Platte, Discovery of Subteraniall Treasure, London, 1639
2) English Translation of A.A. Barba, Arte de los Metales, by Edward Montague, Earl of Sandwich, 1669
3) John Pettus, Fodinae Regales, 1670
4) John Webster, Metallographia, London, 1671
5) English Transltion of Erker, as Fleta Minor, by John Pettus, London, 1683
なお、ポトシにすんでいたバルバ神父の『鉱物技術』のモンターギュ=サンドウィッチ伯による英訳ですが、貧しい部分訳だとあります。また、ペトスによるエルカーの英訳は、技術的(専門的)な部分があてにならない、とあります。
まだラテン語がヨーロッパ共通語であった時代の英国では、ドイツ語(当時は、High-Dutch と呼ばれています)をしっかり読める人間は少なく、エルカーが最初に英訳されたのにはそういう事情があります。王立協会の会議でもエルカーの英訳のことは話題になっています。そして、ペトスよりずっと言葉のよくできる数学者ジョン・ペルもエルカーをほとんど訳していましたが、「鉱物に関する専門用語の理解に非常な困難を感じて、翻訳を完成できないでいた。」ということで、(ドイツ語の専門用語に関してはとても上出来ではなかったが、ともあれ)完成していたペトスの英訳の出版を王立協会は支援します。そういうことで、1683年にエルカーの英訳が出版されます。
Fleta Minor という不思議なタイトルは、ちょうどそのときペトスが借金により投獄(Fleet Prison)されていたせいです。ペルもこの牢屋には入っており、当時はその事実はその人の著作家としての信用にはあまり影響しなかったようです。
Full title is
Fleta Minor: / Or, The Laws of Art and Nature, in Knowing, Judging, Assaying, Fining, Refining and Enlarging the Bodies of confin'd Metals. / In Two Part. / The First Part contains Assays of Lazarus Erckern, Chief Prover ( or a Assay-Master General of the Empire of Germany ) in V. Books: originally written in hite Teutonick Laguage, and now translated into English. / The Second contais Essays on Metallick Words, Alphabetically composed, as a Dictionary. / BY Sir John Pettus, of Suffolk, Knight. / Illustrated with 44 Sculptures. / London, Printed, for the Author, by Thomas Dawks, his Majesty's British Printer, at the West-end of Thames-street.1683.
3) の Fodinae Regales のフルタイトルは次の通りです。
Fodinae Regales, or the History, Laws and Places of the Chief Mines and Mineral Works in England... London, 1670.
夜半に目覚めたので少し仕事をしています。今継続している作業ですこし気になっているところを解消できればと思います。[鉱山町]
最後に7時15分。昨夜はけっこう遅くまで起きていました。結局作業ではなく、グーグルで検索をかけて、どの程度の情報が日本語でストックされているのかを見ていました。→調べたのは、ルネサンスから初期近代にかけての鉱山の様子。
まず、ポトシ銀山。大昔ですが、次の論文があることがわかりました。
近藤仁之「水銀アマルガム法、水銀供給源、及び「価格革命」「ポトシ銀山とウアンカベリカ水銀鉱山」『社会経済史学』25−2・3 [1959]
次に、ヨアヒムスタール(現在はチェコで、ヤーヒモフ)。16世紀はじめに、ザクセンとボヘミアの境界の森に銀鉱山が発見されます。その結果、そこに、ザンクト・ヨアヒムスタール(Sankt. JOACHIMSTHAL)(聖ヨハヒムの盆地)と呼ばれる鉱山町が誕生します。プラハの人口が5万人の時代に、2万の人口をかかえるおおきな鉱山町に発展します。アグリコラがイタリアで医学博士号をとったあと、この町で医者として開業し、同時に鉱山の実際に関して、実見・聞き取り調査を行い、それがあの不滅の古典『デ・レ・メタリカ』(1556) に結実したことは有名です。さて、この地の銀を使って鋳造された銀貨はヨアヒムスターラーと呼ばれ、ヨーロッパだけではなく、海外植民地にまで流通します。途中の経緯を省略して言えば、これが、ターラーと呼ばれ、ターラーがなまってダラー(ドル)となったということです。
さて、繁栄は長くは続かず、17世紀の半ばには寂れていたそうですが、1789年にドイツ人化学者クラプロート(Martin Klaproth)がピッチブレンドから奇妙な半金属を発見します。それがウランでした。その後150年間は、ウランは、オレンジや黄色等の色を出すための釉薬としてのみ使われていました。
1895年レントゲンは、X線を発見します。これも途中を省略して言うと、キュリー夫妻がヨアヒムスタールのウラン廃鉱をトン単位で取り寄せ、そこからラジウムを抽出します。(最初は0.1グラム。次は8トンから1グラム)。
そもそも、ザクセン地方とチェコのボヘミア地方の境は、ほとんど無人だった場所ですが、12世紀にフライベルクで銀鉱石が発見されます。これがきっかけとなって、この地が非常に豊かな鉱山であることがわかり、エルツ(鉱石)山脈と呼ばれるようになります。フライベルクの他に、ザイフェン、オーバービーゼンタール、アンナベルク、シュネーベルク、ケムニッツなどの鉱山町が誕生しています。久しぶりに、山内一也氏の人獣共通感染症のサイトを見ました。
中世の黒死病はウイルス出血熱であったというイギリス人研究者の新著を紹介しています。山内さんの紹介文を読む限り、ありえる話ではないかと思います。
ひとりで5時20分。昨夜、歯のショックでよれよれになって、早く寝たせいです。[引用エラー]
昨日話題にした引用エラーですが、これは今の時代においても、割とよくあることです。きちんとチェックしてみれば、けっこう見つかります。私が過去書いた論文でも、レフェリーの方がしっかり見てくれたものでは、その種の引用エラーを犯したことに気付いたものがあります。記憶では、I.B.Cohen の論文にその種のエラーを見つけたことがあります。
故廣松渉は、オグデン&リチャードの『意味の意味』は、引用という点ではめちゃくちゃだと言っていました。[総合雑誌]
お昼に外に出たついでに、久しぶりに2冊の総合雑誌、『月刊現代』10月号と『論座』10月号、ならびに山岸凉子『舞姫テレプシコーラ(6)』を買ってきました。いうまでもなく、帰ってまず読んだのは、山岸凉子です。それから、『現代』の「渡邉恒雄 権力の「履歴書」」(魚住昭)、それから、『論座』の雑読系(坪内祐三)です。[ビリッヒとマグネン]
大昔にマイクロを British Library から取り寄せ、業者に頼んで紙焼きし、製本してもらった大冊が10冊近く手元にあります。そのうち4冊がわけあって、今、私の足下にあります。業者に紙焼き・製本を依頼すると、そのすべてに、バッソという著者名を印字してくれました。製本が帰ってきた時点では、関心が別のものに移っていたせいで、なかみをきちんと確かめることもなく、ツンドクにしておきました。今回必要があって、なかみをしっかり確認しました。2冊は、なるほどバッソの大著『反アリストテレスの自然哲学12巻』(ジュネーヴ、1621)です。残り2冊ですが、1冊はビリッヒ、もう1冊はマグネンです。
A.G. Billich, Thessalus in Chymicis Redivivus, 1643
C. Magnen, Democritus Reviviscens, sive De Atomis, 1644
ビッリヒは、今続けている作業のために使いました。その後、マグネンがどういう著者・著作を使っているかを全巻通して見ました。得るところがありました。夕食後、大雨。一度ですが、雷鳴もありました。→と思ったら、かなり強い雷光と雷鳴が続いています。雷光と雷鳴の間隔から判断すると、遠くで大きな雷が生じています。小降りになったときに、昨日ちびどもが借りてきたビデオを返却してきましたが、またその後本降りになっています。夏が終わった途端、雨がよく降ります。
おおきいちびといっしょに、6時40分。今朝も涼しい。ありがたい。幼稚園の始業式。ちびにとっては待ちに待った幼稚園の復活です。来週からすぐにお弁当がはじまります。
[な さ け な い は な し]
私は、ちょっと大学にでて、何件か用事をすませてこようかなと思っています。→ちびが幼稚園にいくのにいっしょにでかけて、大学へ。まずは、図書館で2点ほどコピーを取りました。それから、生協に行って、今年の研究費をまるまる使って購入した新しいボイル全集のデジタル・テキスト(CD-ROM) を受け取りに。発注したのと ISBN 番号が違うということで、生協のPCを借りて確かめようと思いましたが、XP でも 98 でもうまく作動せず。私の研究室に持って帰り、マックで確認したところ、まったく問題なく動作し、中身もボイル全集でした。高いのですが、これは重宝します。
ほかにもいくつか作業をして、帰宅途中に買ったカステラを食べていると臨時に詰めてもらった歯のかけらがとれてしまいました。歯が1本でも欠けていると、かなり情けない。夕刻に歯医者に行くことになっているので、それまで2時間あまりの辛抱です。→今日は、土台をたててくれました。次回この上に型をとった歯形をかぶせるようです。今は柱だけが歯茎に突き刺さっている状態です。あまりかたいものを食べなければ大丈夫だと歯医者さんは言ってくれましたが、帰ってきて鏡で見ると、怖さが募ってきます。当分、びびりながらの生活です。[Boyle's Error and Non-Error]
昨日、今日の作業でわかったちいさな何点かの発見について、お知らせしましょう。
やっているのは、ずっと、ボイルの引用箇所の照合作業です。ボイルの引用するとおりに引用箇所があるのかどうかを調査しています。
ボイルのエラー:『ホッブズ審査』という書物で、ボイルはホッブズの『空気の本性に関する自然学対話』を徹底的にやっつけています。『空気の本性に関する自然学対話』がそもそも、ボイルの科学的デビュー作『空気のバネとその効果に関する自然学-機械学的な新実験』 (1660) に対するいちゃもんです。ボイルは、そのいちゃもんに対して、毅然と反論を試みたわけです。(このボイル対ホッブズ論争の分析は、もうすでに科学史の古典としての地位を獲得したシェイピンとシェーファーの『リヴァイアサンと空気ポンプ』で見事になされています。ただし、私は、その分析に満足していません。)
『ホッブズ審査』におけるボイルの攻撃対象は、あくまで『空気の本性に関する自然学対話』ですが、ホッブズの別の2著『哲学原理第1部物体論』英訳、ならびに『数学教授達に対する7つの教訓』もとりあげています。昨日のダウンロードはこれを確認するためでした。
さて、新しいボイル著作集の155頁でボイルは5行英語で引用した部分に対して、
+ Page 6.
という注をつけています。これは、「私(ボイル)の実験31」に対する解釈です。明らかに数字がおかしい。小さすぎます。「実験31」という手がかりがあれば、そこから引用箇所を探し出すことはそれほど大変ではないだろうと思い、実際捜してみると、『空気のバネとその効果に関する自然学-機械学的な新実験』 (1660)のpp.229-30 に当該引用箇所がありました。この時代の人は、pp.229-30 を "pag.229" or "pag. 229, 230" のように表記します。どこからどうみても、"page 6" は出てきません。これは明らかにボイルの資料操作ミスです。(ノートを取るときにミスをしたのか、転記の際にミスをしたのか、その辺のことはわかりません。)
さて、もっとあとで(167頁)でボイルはホッブズの物体論を次のように引用しています。
++ Mr. Hobbes de Corpore. cap.26. part 4.
これは明らかにおかしい。引用箇所は、大きい分類項目から小さい分類項目に下ります。これはたぶん、"cap.26. sect. 4." の間違いだろうと目処をつけて捜すとその通りでした。
さて、もう本の最後に近いところ(170頁)でボイルは次のように物体論を引用しています。
+ Cap. 16. Sect. 4.
これは主題としては、上の"cap.26. sect. 4."と同じです。すぐに、"+ Cap. 26. Sect. 4." の間違いであろうという予想がつきます。調べてみると案の定、"16" は "26" の間違いでした。現時点での印象批評としては、どうも本の後半になるとこうした単純なエラーが生じやすくなるようです。ボイルの集中力が切れたという解釈もできますが、ボイルの資料の扱い方に最大要因があるのではと踏んでいます。
以上、ボイルのエラーでした。
次は、ボイルのエラーではない事例です。
ボイルは『理性と宗教の調和可能性についての考察』 (1675) という著作で、メルセンヌを引用しています。
* In his little tract de Magnetis Proprietalibus.p.m.350.
編者注にこれは、Cogitata Physico-Mathematica (1644) に採録されているという情報があります。Cogitata はガリカにあり、ダウンロードしています。一生懸命 page 350 を捜しましたが、page 350を開いてでてくるのは、そもそも磁石論ではありません。
そもそも、Cogitata Physico-Mathematica には、4つの作品が収録されていますが、2つめ(流体力学と空気力学)のあと、ノンブルがもう一度0から始まります。3つ目の作品が「機械学の理論と実践」、4つ目が「航海術、に磁石論と和声論を付す」というものです。もちろん、この「磁石論」がボイルの引用するものでしょう。しかし、ページは、pp.245-251です。たった6頁の小論なので、もしやと思い、全部見てみました。ページの進行は次のようになっていました。
245, 246, 247, 248, 249, 350, 251
つまり、350 というのはノンブルエラー(ページ付けのミス)で、本来は、250 でなければなりません。この時代の書物にこうしたノンブルエラーは多くあります。ボイルの『懐疑的化学者』でもかなり多くありました。
もう1点、ここで注目に値することがあります。それは、p.m.[page mihi] の非常に珍しい用法です。ボイルはどうしてメルセンヌのCogitata Physico-Mathematica に収録された論考に p.m.[page mihi] を付したのでしょうか? それは、ノンブルエラー(ページ付けのミス)に気付いていて、私の持っているメルセンヌのCogitata には、350というページ数がついているけど、という意で使っていると見てよいでしょう。
この用法は、他になくはないでしょうが、非常に珍しい例だと言うことはできると思われます。
7時過ぎ。前日と同じく、就寝時には暑く、朝方は涼しい。秋の好日。→と思ったら、お昼過ぎに少しだけ雨が降りました。でも、ほんのすこしで、涼をもたらしてくれたようです。妻の調子はまずまず。私も、頭痛がなくなり、風邪気味を脱したようです。ということでちょうどよいので、朝一番でまた駒場にでかけ、資料を収集してきます。
朝一番というのは、8時過ぎです。これで駒場には9時前後につきます。駅前の売店でおむすび2個とお茶を買って、いつも世話になっている院生室へ。今回は、ダウンロードの最中は、読みかけになっている、青木康征『南米ポトシ銀山』(中公新書、2000)を読むこととしました。300M近いファイルが一つあったので、8割方読み通すことができました。青木さんの関心は、副王トレドがインディオに導入した「ミタ労働」の是非にあります。もちろん、私は、16世紀、17世紀の鉱山の具体的姿に関心があります。青木さんの本は、私の関心に直接答えてくれるものではありませんが、それでもかなり役に立つ情報が散らばっていました。私が今進めている主たる作業の方も、かなり進みました。神経を使う仕事です。
本日ダウンロードしたのは、次の14点です。
Dury, John, ,
Conscience eased: or, the main scruple which hath hitherto stuck most with conscionable men, against the taking of the Engagement removed. ,
London, 1651Dury, John, ,
Certaine considerations shewing the necessity of a correspondencie in spirituall matters betwixt all Protestant churches ,
London, 1642Dury, John, ,
A case of conscience concerning ministers medling with state matters in or out of their sermons resolved more satisfactorily then heretofore. ,
London, 1649Dury, John, ,
Objections against the taking of the engagement answered. Or, Some scruples of conscience, which a godly minister in Lancashire did entertain against the taking of the engagement. ,
London, 1650Dury, John ,
The reformed librarie-keeper ,
London, 1650Hartlib, Samuel, ,
Clavis apocalyptica, or, A prophetical key ,
London, 1651Hobbes,Thomas,
Six lessons to the professors of the mathematiques,
London,1656Hobbes,Thomas,
Elements of philosophy,
London,1656Purchas, Samuel ,
Hakluytus Posthumus / or / Purchas His Pilgrimes ,Vol.2.
London, 1625Starkey, George ,
An exposition upon Sir George Ripley's Epistle to King Edward IV written by Eirenaeus Philalethes Anglus, cosmopolita. ,
London, 1677Starkey, George ,
The marrow of alchemy being an experimental treatise, discovering the secret and most hidden mystery of the philosophers elixer ,
London, 1654Starkey, George ,
Liquor alchahest ,
London, 1675Starkey, George ,
Natures explication and Helmont's vindication ,
London, 1657Thorowgood, Thomas, ,
Digitus dei: nevv discoveryes ,
London, 1652
目的は、ホッブズの2点(『数学教授達への7つの教訓』と『哲学原理第1部物体論』英訳)ならびに、パーチャスの旅行記集成ジャイアント・フォリオ4巻本の第2巻(この巻だけまだダウンロードしていませんでした)でした。しかし、ちょうどよいので、ジョン・デュアリを何点かとスターキのものを何点かダウンロードしておきました。
ジョン・デュアリについてはいつかきちんとした論文を書こうと思っています。スターキーのものは、なかなかによい復刻コレクションをアマゾンのマーケットプレイスで入手しているのですが、当時の人々が利用していた本の物理的形態にも有用な情報が含まれるので、ともあれ、HD上に蓄積しておくことにしたものです。
7時過ぎ。夜は暑かったのですが、朝は涼しくなっています。9月。数日前から歯の調子がおかしいな、と思っていたら、昼食後詰めてもらったところがはずれかかっていることに気がつきました。歯は丈夫なたちではないのですが、今回はずれかかっているのは一番弱い部分です。必要なことですが、歯の治療が続くと思うと気が重い。→つべこべ言っても、時間は来ます。夕刻、行ってきました。はずれかかっていた部分は、簡単にとれました。新しく詰め直すということで、少なくとも数回は歯医者さんに通わなければなりません。→妻も軽く風邪のようです。私も、すこし風邪気味です。頭が少し痛いのと、体に力がありません。
月曜日(8月30日)に駒場でダウンロードしたファイルをやっと整理しました。次の11点です。
Acosta, Jose de ,
The Natural and Moral History of the Indies ,
London, 1604Hobbes,Thomas,
Dialogus physicus de natura aeris,
London,1661Hobbes,Thomas,
Elementa Philosophiae Dectio prima de De corpore,
London,1655James, Thomas, ,
The strange and dangerous voyage of Captain Thomas James ,
London, 1633Ligon,Richard, ,
A True and Exact History of the Island of Barbados ,
London, 1657Linschoten, Jan Huygens van ,
Iohn Huighen van Linschoten. his discours of voyages into ye Easte & West Indies ,
London, 1598More, Henry ,
Enchiridion Mataphysicum ,
London, 1671Purchas, Samuel ,
Hakluytus Posthumus / or / Purchas His Pilgrimes ,Vol.1.
London, 1625Purchas, Samuel ,
Hakluytus Posthumus / or / Purchas His Pilgrimes ,Vol.3.
London, 1625Purchas, Samuel ,
Hakluytus Posthumus / or / Purchas His Pilgrimes ,Vol.4.
London, 1625Ward, Seth ,
In Thoma Hobbii philosophiam exercitatio epistolica ,
Oxford, 1656