2016年度 東大駒場大学院 授業「相関基礎科学特殊講義 II」


   学部の授業科目名は、「科学技術史特論 V」 
 時間割と教室:金曜日5限(午後4時50分〜6時35分)、14号館308教室、9月30日(金曜日)から始まり、1月12日(木曜日)に終わります。(最後の日は木曜日です。この日どうするかはまだ考えていません。@2016.9.26)

 内容
 科学と技術(Science and Art、あるいは科学と芸術)における表象の問題をサーベイします。広大な領域ですが、この問題領域を取り扱う基本的な観点/概念を修得してもらうことを目的とします。
  1983年パリで「視覚化と認知」と題するワークショップが開かれた。美術史家、科学史家、認知科学者等多くの分野の研究者が出席したこの会議は、科学技術の分野における図版(地図、版画、写真、顕微鏡図、ダイヤグラム等々の画像表現)の産出・使用・普及に関する研究のターニング ポイントとなった。この会議からは、Human Studies の特集(1988)、『科学的実践における表象』(1990)、『科学的実践における表象:再訪』(2014)という論集が生まれた。
 2001 年画家のホックニーは『隠れた知識』を出版して、15世紀以降画家は密かにカメラ・オブスクラを利用していたと主張し、ステッドマンは『フェルメールのカメラ』を出版して,フェルメールがカメラ・オブスクラを使っていた強い証拠を提示した。
 2005年マックスプランク研究所の科学史グループは、この問題を 取り上げ、ケプラーの光学から始まり、視覚の理論が近代においてどのように形成されていったのかを追求した。  
 こうした研究伝統の研究成果を13回でフォローする。
 2015年度のシラバスには、このように記載しました。2016年度も、この探究を継続します。今年度はとくに「装置による視覚」に焦点をあわせます。

 授業計画 Schedule
第1回:イントロダクション
第2回から第12回は、カメラ・オブスクラ、顕微鏡、望遠鏡、マジック・ランタン、覗き眼鏡、パノラマ、ディオラマ、フェナキスティスコープ、ソーマトロープ、ゾートロープ、プラクシノスコープ、フォトグラフィー、アニメーション、キネトスコープ、ムービー、X線撮影、医学図像、等々、「装置による視覚」に関して具体的なトピクスを取りあげます。
第13回:総括と総合的討論

 授業の方法 Teaching Methods
 各回の授業を2部に分けます。1部は、参加者全員による画像提示です。各回10分から15分程度を目処に、各自の選んだ画像を提示し説明してもらいます。
 2部は、普通のテキスト読解と発表です。参加者で分担して、担当するテキストを発表してもらいます。 その後、参加者全員で、コメント&ディスカッションします。 必要に応じて、講師がまとまった講義をすることもあります。

 成績評価方法 Method of Evaluation
発表(Presentation、50%)+期末レポート(Term Paper, 50%)

 教科書 Required Textbook
ジョナサン・クレーリー『観察者の系譜 : 視覚空間の変容とモダニティ』以文社、2005
橋本毅彦『描かれた技術科学のかたち : サイエンス・イコノロジーの世界』東京大学出版会,2008
レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語:デジタル時代のアート、デザイン、映画』堀潤之訳、みすず書房、2013

 参考書 Reference Books
デイヴィッド・ホックニー 『秘密の知識 : 巨匠も用いた知られざる技術の解明』青幻舎、2010
フィリップ・ステッドマン『フェルメールのカメラ : 光と空間の謎を解く』新曜社、2010

 履修上の注意 Notes on Taking the Course
 関心のある方は、どういう専門分野の方でも歓迎します。 初回に分担を決めます。 自分の分担部分に関して、しっかりとテキストを読み、内容を整理し、他者にわかる発表をしてください。

駒場2015  

基礎文献(できれば全員に予習しておいてもらいたい文献です。)